【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ38)

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38話ページ38

「ババロア!」

『アップルパイ!』

「いなり寿司!」

『シナモントースト!』

春奈と冬花を加えた円堂一行が虎丸の家庭の事情を把握し、出前や接客などと食堂の手伝いをしている同時刻。雷門中のグラウンドにて、吹雪と水城はしりとりと同時進行でボールの奪い合いをしていた。

ボールを奪取しゴールに入れるまでが勝負で、どちらかが勝てばお題を変えて再勝負。今は食べ物縛りだがその前は動物縛りで、両者がそこまで詳しくなかったために数分で終了した。

「と、と…豆腐ハンバーグ!」

『ぐ!?ぐ…ぐ、グラタン、あ』

「はい一青ちゃんの負けー」

曰く頭を使いながら動くことで判断力を高める特訓らしいが、果たして効果があるのかは微妙なところである。ちなみに発案者は通りすがりの綱海だ。『グラタン以外に何がある?』「軍艦巻きとか」『あー』腕立て伏せをしながら尋ねる水城とボールを脇に抱えながら答える吹雪。深刻なツッコミ不足だ。

「あと何回かしたら切り上げようか一青ちゃん」

『そうだね士郎君。次のお題何にする?』

「うーん」

水城が円堂たちを見送ったときは真上にあった太陽も、すでに傾いて辺りを橙に染めている。足元不注意で怪我をしては元も子もない。気を付けなければと気合を入れ直し、お題を決め始めた。

「吹雪さんと一青さん、何やってるでヤンス…?」

「しりとりっスかね…?」

空は紺色。最後は語呂の良い言葉縛りのようで、大真面目な顔で墾田永年私財法や東海道中膝栗毛などと叫びながらボールを追いかける様子はかなりシュールである。合宿所内にいた数名が何度か不思議そうに窓から顔を出していた。

「あ、おかえり2人とも。なんか発光ダイオードとかカントリーマアムとか聞こえたけどあれは何縛り?」

『ただいまヒロト君。それは必殺技っぽい言葉縛り』

水城が王政復古の大号令と叫んでシュートを決めたところで自主練をお開きにして、肩に掛けたタオルで汗を拭いながら食堂に戻ってきた水城と吹雪。夜ご飯のために集まってきていたのか人口密度はわりと高いが、室内を見回してみると円堂たちの姿はなかった。

「そうそう、少し前に木野さんから連絡があってね」

「『?』」

まだ帰ってきていないのだろうか。そう思っていると基山は苦笑いで話を切り出し、水城と吹雪は顔を見合わせて首を傾げると頭上に疑問符を浮かべた。