【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ37)

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37話ページ37

「はいこれ、一青さん宛てに届いてたわよ」

円堂と豪炎寺の座る椅子の背もたれに片方ずつ手を置いていた水城は、秋から輪ゴムで纏(まと)められた手紙の束を受け取った。見たところ10通以上は確実にある。

「なんだそれ?」

「ファンレターっスか?」

『なんだろう…。ありがとう秋ちゃん』

正面から綱海と壁山が水城の手元を覗き込む。不思議そうにそれを眺めた後、顔を上げて秋に礼を言った水城。どういたしましてと返した秋は、今度こそ春奈と一緒に食堂を出ていった。

『部屋に置いてくるね』

「あれ、今見ないのか?」

『時間も微妙だし、夜にゆっくり見ることにするよ』

「そっか!」

円堂に尋ねられると時計を一瞥して返答する水城。この後も特訓の予定がある。確かに急いで読むより後でじっくり読む方がいいだろうと納得した円堂は、水城が手紙の束を片手に食堂から出ていくのを見届けたのだった。

「よし!今日の特訓はここまでー!!」

時間は流れ、体力作りのための走り込みが終了した。円堂がそう声をかけると、ほとんどが座り込み肩を上下させる。

「緑川ー!特訓は終わりだぞー!?」

そんな中、座り込む彼らを避けて走り込みを続行するのは緑川。仲間も好敵手だと認識し誰よりも真剣に、いや、がむしゃらに練習に取り組む彼に、円堂が飛ばした声は届いていなかった。

『あっ今から虎丸君のところ?』

「おう!よかったら一青もどうだ?」

『あー』

さらに時間は流れる。正門前で秋と円堂が合流し、そこに豪炎寺も加わって虎丸のところへと向かおうとすると水城が門の脇から顔を覗かせて尋ねる。円堂が返事をして誘うと、水城は申し訳なさそうに眉尻を下げた。

『虎丸君のことは気になるけど、今から士郎君と自主練なの』

「あっそうなのか」

『ごめんね、誘ってくれてありがとう。帰ってきたら聞かせてくれると嬉しいな』

「ああ!任せろ!」

いってらっしゃーい。ひらひらと小さく両手を振りながら見送る水城に手を振り返したり笑顔を向けたりとそれぞれ反応を返し、3人は虎丸が入っていったという商店街にある食堂に向けて歩き始めたのだった。