【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス VII (ページ36)

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36話ページ36

「カタール代表、デザートライオンだ」

「デザートライオン…」

ビッグウェイブスとの試合から一日。食堂に集められたイナズマジャパンは、久遠から次の対戦相手を聞かされる。

「このチームの特徴は、疲れ知らずの体力と当たり負けしない足腰の強さを備えていることだそうです」

「彼らと戦うためには基礎体力と身体能力の強化が必要だ。カタール戦までに、この二点を徹底的に鍛えること。いいな!」

「「「「はいっ!」」」」

壁山がどんなチームなのかと尋ねると春奈から答えが返ってきて、それに久遠が言葉を付け足す。課題を提示すると、用事を終えた久遠は早足で食堂から出ていった。

「とは言っても…どんな練習をすればいいんだろう?」

「そんなもん、徹底的に走り込むしかねえだろ!走って走って走りまくって!強い足腰を身に付けりゃいいんだ!!」

不動と飛鷹を除いた全員が前の方の席に集まる。円堂が疑問の声を上げると綱海が勢いよく立ち上がり答えた。基礎体力と身体能力、すでにこの二つはイナズマジャパンとデザートライオンで大きく差が開いている。試合までに少しでもその差を縮めるためには、単純だが綱海の言う方法が一番良いだろう。

「あの、すみません…」

「ん?」

「申し訳ないんですが、俺、これで失礼します」

「え?あ、ああ」

と、そこで鞄を肩に掛けた虎丸がおずおずと口を開いた。一礼して食堂から出ていった彼を全員が見届ける。急いでいるのだろうか、廊下に響く足音は速く、すぐに聞こえなくなった。

「あいつ、またでヤンスか…?」

「…なんであいつだけいつも途中で帰っちまうんだ?」

「さあ…なんでだろうな…?」

栗松、綱海、風丸が不思議そうに呟く。合宿所に泊まらず毎日練習の途中か終了後に早足で帰っていく虎丸の、久遠が許可を出すほどである早退の理由が気になるのだ。

「このままではチームの士気に関わりかねません…。ここは、調査するべきかと!!」

「分かりました任せてください!!キャプテン、私たちで虎丸君のことを調べてみます!何か分かったら連絡しますね!!」

「あ、ああ…」

「行きましょ先輩!」

「わ、私も?」

それを見兼ねた目金が提案すると、春奈が早速といった様子で秋を連れて食堂を出ていこうとする。

「あっそうだ一青さん!」

『どうしたの?秋ちゃん』

しかし途中で秋が思い出したように踏みとどまり水城を呼ぶ。秋の手を引いていた春奈がつんのめった。