【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス III (ページ5)

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102話ページ5

「栗松…」

円堂は栗松が雷門イレブンに宛てた手紙を握り締める。それには、どれだけエイリア学園を倒しても次のチームが現れてもう耐えられないということ、降りてしまうことへの謝罪と今までの感謝の言葉が連なっていた。本人も本当は最後まで戦いたかったのだろう、手紙にはぽつぽつと涙の跡があった。

「円堂君をメンバーから外します」

緊急事態で無理矢理キャラバンに連れ戻された円堂だったが、その理由が栗松の離脱だということが分かると再び屋上で項垂れてしまう。そして秋がまた説得しに行くも失敗に終わり、円堂以外の全員がグラウンドに揃ったところで瞳子にそう言い渡された。

「円堂君を除くこのメンバーで、エイリア学園との戦いに臨みます」

「そっ、そんなあ…」

「鬼道君、貴方に新キャプテンをお願いするわ」

「よろしく」と言って去っていく瞳子の背中に、鬼道ははっきりと「お断りします」と告げた。瞳子が足を止める。

「俺たちのキャプテンは、円堂だけです!あいつは必ず立ち上がります、それが円堂守だからです!」

瞳子が振り返りメンバーを静かに見渡すと、不安げな表情をしていた選手もマネージャーも鬼道の言葉ではっとして、瞳子を真摯に見つめていた。

「明日、ここを出発するわ。誰も着いてこないなら新たなメンバーを探すだけよ。私はエイリア学園を倒さなければならないの」

そう言い放って今度こそ去っていった。だがもし本当に誰も着いてこなかったとして一からメンバーを集めるとなると、時間はかかるし、エイリア学園に対抗できる力を持つ選手もなかなかいない。明らかに効率的ではないのだが、瞳子にも何か早くエイリア学園を倒さなければいけない事情があるのだろう。それだけ急ぐ、何かが。

『やろう、鬼道君』

「ああ!」

瞳子の背中が見えなくなるまで見届けると、水城がボールを鬼道に差し出す。それを受け取った鬼道は大きく頷いた。そして練習開始。今日の練習は自分たちの力を付けるものでもあり、円堂を立ち上がらせるためのものでもあった。

「はっ…っ、は…。っお願いします!!」

ゴールに立つ立向居の声が円堂に届く。マジン･ザ･ハンドを習得するため、そして円堂を元気付けるために秋が練習に混ざってほしいと頼んだのだ。