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第四十五章 ページ5

『お疲れ様、いっくん!』

閉店時間となり、客がいなくなった後。

帰っていくパートの子に手を振ってから、私はいっくんを呼びにキッチンへ行った。


一「……あぁ。お疲れ。」

『あれ、芝くんは?』

一「…………たったさっき、用事があるとかで帰った。」

『芝くんらしいわ。』


かちゃん、といっくんがカプチーノカップに手を伸ばす。

一「……飲む?」

『淹れてくれるの?』

一「俺ので良かったら、だけど。

嫌だったら帰っても」

『うぅん。』

私は首を横に振る。


『……楽しみに待ってる。』

――
ふわり、とコーヒーの香りがこっちまで漂ってくる。

私はテーブルの方に座って、彼を待った。

一「……時間かかったでしょ。」

『いっくんの為なら、何時間だって待つよ。』


「ふふっ」と笑いながらそう言うと、彼は顔を赤らめながらソーサーごとテーブルの上に置いた。


一「……はい。」

『あ、ラテアートできるようになったんだ!』

一「まだ、これしかできないけど……。」


そこに描かれていたのは、黒猫の絵。

初めてやったはずなのに、白と黒のコントラストが上手い具合にできている。


『いっくん、センスあるよ!』

一「……。」


褒め言葉を送ると、更に顔を真っ赤に火照らせてそのまま向こうを向いてしまう。


『でも、ホントにこれ美味しいよ。

あー、これだったら甘いもの欲しくなる』

一「…あ、作って来ればよかったね…。

ヒヒッ、そんな気も使えないクズですみませんね……。」

『い、いや、大丈夫だから!

今度一緒に作ろ!?』

一「すいませんすいません……。



…………じゃあ、せめてものお詫びに。」

『は?』


彼はすっと立ち上がり、私の頬を両手で包み込むと、



唇の端をぺろり、と舐めた。


『い、いいいいいっくん……。』

今度はこっちが真っ赤になる番。


まだ赤みの残った顔で怪しげに笑う彼は「……甘かったでしょ。」と言ってから、舌なめずりした。

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全松girl(プロフ) - 黒兎さん» いえいえ^^これからも、頑張ってください! (2017年3月26日 18時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 全松girlさん» 置いた後です!ありがとうございます〜 (2017年3月26日 14時) (レス) id: ae3fbfbaa1 (このIDを非表示/違反報告)
全松girl(プロフ) - 第七十二章の、「携帯を老いた」ではなく、「携帯を置いた」じゃないでしょうか?失礼でしたら、ごめんなさい。 (2017年3月26日 13時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさいさん» そうか……、糖度甘めにした覚えはないんだが…… (2017年2月27日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさい(プロフ) - 黒兎さん» …てか、番外編あんまぁい!!!!((鼻血 (2017年2月15日 15時) (レス) id: c3e219345d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年1月15日 18時

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