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第七十二話 ページ38

部屋に帰った私は、スマホを一度置いた後、そのままソファにもたれ掛かった。

自分自身は特に何もしていないのに、どっと力が抜けていくのが分かる。


『……よかった。』


呟いて、小さくガッツポーズ。

未だに心臓はバクバクと五月蠅いままだが、その中には甘ったるい何かも詰まってる。


夢が現実に近づく様が、言葉で言い表せないほどに嬉しくてたまらなかった。


『あ、電話。』


バイブにしていた携帯が、ぶるりと震えたのを見て、それを手に取った。


『もしもし。』

一「……俺。」

『うん。』


知ってるよ。

ふふ、と笑みをこぼしてスマホを耳に当てなおす。


一「その、今日は……、ありがと。」

『うぅん、こっちこそ。

それで、用事あったから電話したんじゃないの?』

一「……いや。



ただ単純に声が聞きたかったから。」


きゅんっ、と心臓が疼く。

電話の向こう口で、「あっついねぇ〜」と茶化す声が聞こえて更に赤くなる私の顔。


一「……迷惑だったら切る。

後ろの奴らも処分しなきゃだし。」

『処分!?

い、いっくん迷惑じゃないから、大丈夫だよ?』

慌ててそう言うと、「ならいいけど……」と若干不服そうな声が返ってきた。


それから、すうっと息を吸う音が聞こえて、


一「……今度の休み。

Aの両親のところ行こう。」

力強い声。

普段の彼からは想像できないくらいの。


一「…………まぁ、こんな燃えないゴミとの結婚だから反対される確率も相当高いだろうだけどね……。」


もう……。


『さっきまで凄くカッコよかったのになぁ、いっくん。』

一「……え。」

『いっくんはゴミじゃないの。

私はゴミと結婚する趣味はありませんっ!』

一「……っ。」


電話の奥の彼は一度口ごもると、


一「……できる限り頑張る。」

『ならよしっ。』

一「…………最悪、あんた連れ去る覚悟だから、こっちは。」


あー……、

そういう爆弾をなんで普通に投下するかなぁ。

頬がまた熱を帯びていく。







その後は、「……後ろのやっぱり五月蠅いから、ゴミ捨て場にでも出してくるわ」という会話で電話は終了した。

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全松girl(プロフ) - 黒兎さん» いえいえ^^これからも、頑張ってください! (2017年3月26日 18時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 全松girlさん» 置いた後です!ありがとうございます〜 (2017年3月26日 14時) (レス) id: ae3fbfbaa1 (このIDを非表示/違反報告)
全松girl(プロフ) - 第七十二章の、「携帯を老いた」ではなく、「携帯を置いた」じゃないでしょうか?失礼でしたら、ごめんなさい。 (2017年3月26日 13時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさいさん» そうか……、糖度甘めにした覚えはないんだが…… (2017年2月27日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさい(プロフ) - 黒兎さん» …てか、番外編あんまぁい!!!!((鼻血 (2017年2月15日 15時) (レス) id: c3e219345d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年1月15日 18時

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