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第七十章 ページ36

ばくばく、と五月蠅い心臓音。


目の前には、いっくんの両親。





…………何これ、凄い緊張する。


それが身体にもあらわれているのか、手がかたかたと震える。


うぅ、さっき覚悟決めたはずだったのに……。







一「…………大丈夫だから、俺を信じてくれればいいだけだから。」



ふと耳元で聞こえた声に反応するように、隣を振り向く。


何喰わぬ顔をしているが、その手は私の手に絡めてくれた。


冷たくなった私の手を包み込む、彼の手。




……安心、させてくれてるんだ。




一「……母さんは知ってると思うけど。


この子は、桜城 A。


俺の彼女なんだ、けど…………。」



ごくりと、息を飲む音。



一「……俺、




Aと結婚する。」



両親の目を捉えて、離しはしない。



彼がここまで語気を強めるのは見たことがない。




『お、お願いします!


私と……っ、一松くんの結婚を認めてください!』



私も頭を下げた。


いっくんはずっと前を向いたまま。


心臓が、より一層沢山の血液を押し出した気がした。







松代「……顔を上げて頂戴?Aちゃん。」



優しい声音に恐る恐る顔を上げると、松代さんと松造さんはにこやかな笑顔を浮かべていた。



松造「いい彼女さんを持ったな、一松。」


一「……当然でしょ。」



慣れないことをしたためか、はあっ、と息を吐くと彼はそっぽを向く。


手を握る力を強めてきた。


『え、えぇと……。


い、いいんですか?』


どう対応していいか分からず、お二人を窺うようにこう聞いた。



松代「いいのよ!


寧ろ一松には勿体ないくらいのいい子だわ。


一松を貰ってくれてありがとうね、Aちゃん。」


『あ、ありがとうございます!』


一「……だから大丈夫だって言ったじゃん。」


そっぽを向いたまま、いっくんの呟きが聞こえた。


松造「あぁ、よかったなぁ母さん。


これでやっと孫の顔が見れるってもんだ。」


松代「えぇ、そうねぇ。


母さん今から楽しみだわ〜っ!」



『え、ま、孫、ですか……?』


徐々に上がっていく体温に、赤くなる頬。


それを察したように、いっくんはこちらを向きなおすと、




一「……父さんと母さんはあれが通常運転だから……。


…………まぁ、言われなくても期待には応えるつもりだけど?」



意地悪そうに笑う彼に、湯気でも出そうなほどに赤くなった顔を勢いよく逸らした。

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全松girl(プロフ) - 黒兎さん» いえいえ^^これからも、頑張ってください! (2017年3月26日 18時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 全松girlさん» 置いた後です!ありがとうございます〜 (2017年3月26日 14時) (レス) id: ae3fbfbaa1 (このIDを非表示/違反報告)
全松girl(プロフ) - 第七十二章の、「携帯を老いた」ではなく、「携帯を置いた」じゃないでしょうか?失礼でしたら、ごめんなさい。 (2017年3月26日 13時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさいさん» そうか……、糖度甘めにした覚えはないんだが…… (2017年2月27日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさい(プロフ) - 黒兎さん» …てか、番外編あんまぁい!!!!((鼻血 (2017年2月15日 15時) (レス) id: c3e219345d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年1月15日 18時

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