所有物には名前を書いて second (ページ27)

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第六十五章ページ27

一松side

「俺が兄弟いるっての教えないのに、Aが教えないから」

この理由は4割ホントで、6割は建前に過ぎない。

俺だって、このままの関係が続くのを望んでいるわけじゃない。

片想いじゃないんだし、このままでいいだなんて思うわけがない。

Aの店とはいえ、就職も取り敢えずしたんだしこの先のことも多少は考えてる。

結婚、とかなったら、やっぱり家族の前に一度は行かなきゃでしょ。

だからコミュ障の俺なりに、心構えとかしたいから、

とか、

言えなーい、言えるわけなーい。

言った瞬間、恥ずかしい通り越して人体自然発火して死ぬ。

ここまでメンタルが低いとなってくると、正直自分を呪いたい。

もうこれ以上Aが追及してこないように、視線を彼女から外した。

『……私には、お兄ちゃんの他には双子の妹がいるよ。』

俺は反射的に顔をあげる。

妹、だと……っ？

『うん。

まだ２人とも中学３年生だけどね。』

のほほん、と口元をほころばせて話すA。

……兄が兄なら、姉も姉、か。

周りに花が飛んでいるように見えるのは、気のせいということにしておこう。

『私が家を出る前は、お兄ちゃんには反抗期真っ盛りだったんだけど。

私には特に害はなかったかなぁ。』

一「……このシスコンが。」

『…………いっくん？』

一「何でもないです。」

……威圧感が怖かった。

でも、妹か……。

中学生、っていったら俺話せなくなってやばいんじゃないか……？

冷や汗が頬を伝っていくのが分かる。

十四松とトド松の兄、というポジションではあるものの、上に同類みたいなのが4人もいるためか責任なんてないのも同然だった。

だが、今回はそうはいかない。

……どうしよう。

『あぁ、気になるなら風邪が完全に治ったら行ってみる？』

一「………………は？」

……どうしてそうやって何の気なしに爆弾を投下するんだ、あんたは。