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第五十九章 ページ20

『……いっくん、


ご飯くらい自分で食べれる。』

一「……だって病人だし……。」


あの後、卵粥を作ってくれたいっくん。

息を吹きかけて冷まそうとしてくれるのは、良しとしよう。



……でも。


『口移しとか、うつるから!』

一「……Aの菌なら大歓迎。」

『歓迎せんでいい!!』

一「でも、噛めないでしょ……。」

『噛めるよ、っていうかお粥でしょ!?』


器を引っ手繰ろうとするものの、ひょいっとかわされてしまう。

伸ばし損ねた腕が、何度もばたんばたんと床に落ちる。



『遊ばないでもらえる!?』

一「……Aが猫みたいなのが悪い。」


……理由になってない。


かちゃり、と音がして見ると、レンゲにお粥を掬って、舌をちろりと出したいっくんの姿。


一「……どうしても、ダメなの。」

『ダメ。』

一「…………いつもは何してもいい、って言うくせに、こういう時だけ拒むんだ。」

『……何拗ねてるの。』

一「……別に。」


言葉とは裏腹に、ふいっとそっぽを向いてしまう。


『拗ねてないなら、何なの?』


少し前のめりになって、彼の顔を見ようとしたら完全に背を向けられた。


『ねぇ、いっくん。』



一「…………欲求不満、なんですけど。」



『え。』

一「向こうではキスが限界だった上に、数日間お預け状態喰らってたし……。

……ホントは限界。」

『……今襲ったら警察呼ぶよ?』

一「呼ばないでしょ。

……まぁ、そう言われるだろうと思ってたから、やらないけど。」


ふーっ、と息を吐く音が聞こえてくる。


一「……お兄さんのことも聞いてなかったしね。」

『うっ。』

一「…………これでもダメ?」


いつもより丸まった背中。

その姿にどこかきゅんとして、情を抱いてしまいまして……。



『い、一回だけだから。

それ以上はなし!!』

一「ヒヒッ、あざまーっす。」


次に見えたのは、悪戯っ子めいた笑み。

ギザギザの歯が、覗き見える。


……やっぱりはかってた。


でも、


こんなに愛されるのも、悪くないよね。


私は一度微笑んで、何処からともなく唇を重ねた。

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全松girl(プロフ) - 黒兎さん» いえいえ^^これからも、頑張ってください! (2017年3月26日 18時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 全松girlさん» 置いた後です!ありがとうございます〜 (2017年3月26日 14時) (レス) id: ae3fbfbaa1 (このIDを非表示/違反報告)
全松girl(プロフ) - 第七十二章の、「携帯を老いた」ではなく、「携帯を置いた」じゃないでしょうか?失礼でしたら、ごめんなさい。 (2017年3月26日 13時) (レス) id: ee29ea7491 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさいさん» そうか……、糖度甘めにした覚えはないんだが…… (2017年2月27日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
夜久夜恵・聡恵…執事か兄貴…低浮上?ゴメンなさい(プロフ) - 黒兎さん» …てか、番外編あんまぁい!!!!((鼻血 (2017年2月15日 15時) (レス) id: c3e219345d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2017年1月15日 18時

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