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第3話 ページ5

一松side


鹿「店長の様子は、どうだい。」


穏やかな微笑みをたたえた鹿立さんが、カップを丁寧に拭きながらこう言った。

Aが妊娠してからというもの、こうやって声をかけてくれる鹿立さんは優しい人だ。


一「……おかげさまで順調です」

鹿「そりゃあよかった。

店長が病院に運ばれた時の一松君、ったら、相当切羽詰まってたから。

顔、般若みたいになってたよ」

一「…………そんなに、酷かったんですか俺の顔」

鹿「まぁ、自分じゃわからないよね」


そうか……、と小さく息をつくと、鹿立さんは「でもね」と。


鹿「頼もしかったよ。

嗚呼、これなら店長も大丈夫だな、って。

……僕が、心配するまでもないなって」


一瞬の沈黙。


一「……もしかしてですけど」

鹿「ん?どうしたのかな。」


かちり、鹿立さんと目が合った。


一「本当にもしかしてなんで、違ったら否定してください。


……鹿立さん、Aのこと好きだったんですか」


まっすぐ前を見据えて。

鹿立さんを追及して、困らせようってわけじゃない。

ただ、聞いておきたかった。


鹿「……やだなぁ、一松くん。


…………僕は店長の意見を尊重してあげたいんだ。

あんなキラキラした笑顔になったのは、一松くんのおかげなんだよ。

それを、僕がぶち壊しちゃあいけない。」

一「鹿立さ」

鹿「別に君が責任を感じることはないよ、一松くん。

事実、僕は君のことを嫌いになったことは一度もない。

店長が君を好きだって僕に相談したあの日から、今までずっと。

寧ろ君のことを尊敬しているぐらいだ。

だから、自信を持ってほしいんだ。



……嗚呼、だめだな。

泣かない、って決めたのに。」


ぐいっ、と手の甲で涙を拭うと。

鹿立さんは一生懸命に笑顔を作った。


鹿「だから、僕の分まで。

店長のそばに居てあげて。

これ以上ないくらいに、幸せにしてあげて。

一松くんになら、できるはずだから」


その表情と言葉が強く胸に染みついて。

俺は「はい」と返答したのだった。

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うさ耳(プロフ) - 蒼紫@UMEDIAさん» 分かった!!了解!一人のファンとして楽しみに見るね!!o(^_^)o (2017年7月10日 19時) (レス) id: 2c24c813af (このIDを非表示/違反報告)
蒼紫@UMEDIA(プロフ) - うさ耳さん» ありがと!!!新作も多分これくらい長くなるかな←既に出来上がってるから、見てくれると嬉しい!! (2017年7月10日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
うさ耳(プロフ) - 黒兎ちゃん、最終回とても感動したよ!!泣 今までこの作品を遅れず書いてくれてありがとう。あと、お疲れ様!!これからも新作と今書いてる小説の更新待ってます!そして、いい小説家になる事を応援してます!!(`_´)ゞ (2017年7月10日 15時) (レス) id: 2c24c813af (このIDを非表示/違反報告)
紅千琴【Mako】(プロフ) - 蒼紫@UMEDIAさん» ホントですか!?全力待機させていただきます!!! (2017年7月4日 18時) (レス) id: 032b07eba7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼紫@UMEDIA(プロフ) - 紅千琴【Mako】さん» ありがとうございます!完結した後、しばらく放心状態でww紅千琴さんのコメントが届きましたで我に返りましたwwはい、次回作を今日出すのでそちらも見てくださったら嬉しいです〜 (2017年7月4日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒兎 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/satisfy15/  
作成日時:2017年5月7日 22時

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