もうなにもいらない【佐野万次郎】 (ページ13)

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傍にいるページ13

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佐野くんと付き合ってから、変わったことが2つ

ひとつは私が佐野、って呼ぶようになったこと
これは気がついたらそうなってた

佐野だけじゃなくて、三ツ谷とか場地も呼び捨てになってたし、中一の夏休みくらいにはもう皆とは家族よりも仲良くなっていた

もうひとつかわったことは＿＿

「Aさ、本当に大丈夫なの」

「東卍の総長と付き合ってるってまじ？」

「東卍とつるんでるんだろ」

「あのマイキーの女とか、やべえって」

佐野と付き合ったことで、偏見を持たれるようになったこと。
佐野はめちゃくちゃいいやつだし、東卍もいいやつしかいないのに。そりゃ暴走族って聞いたら怖いのもわかるんだけどさ。

『佐野も東卍の皆も優しいよ、三ツ谷見てたらわかるっしょ』

私が周りと普通に接したことで誤解は解けたらしく、うちの学校で東卍に対する偏見はあまりなくなっていた

三ツ谷も最初は私と同じ扱いをされていたけど、手芸部に入ってからは女子からの信用を得て、スーパーモテ男へと変化していた

学校が同じ三ツ谷と、あと家が近い場地とは結構仲良くなった

仲良くしてたら佐野があとからめんどくさいから、必要上に絡むことは減ったけど。

「A、マイキーって人、校門いる」

毎日ドラケンと私を迎えにくる、これは小学校からずっと変わらない
佐野に会える放課後が毎日楽しみだった

3人でゲーセン行ったり、映画見に行ったり
たまに佐野と2人だけで遠出したり。

＿＿

「なーA夏休み会おうぜ」

皆でバイクに乗って海に遠出した帰り、佐野は言った

この日は佐野のホーク丸がぶっ壊れて、あと場地もボコボコで帰ってきて、可哀想だったから手当してあげた

「っ、いってぇ」

『場地、我慢して…ちょっとこっち向いて』

手当てするにあたって、距離が自然と近くなっていた
場地の頬にガーゼをあてていると佐野が割り込んできた

「離れろお前ら距離近い」

『仕方ないじゃん、手当してるから』

「あー場地の手当ては俺がする！お前はかき氷でも食べてろ！」

佐野にガーゼとられた

＿＿＿＿