もうなにもいらない【佐野万次郎】 (ページ14)

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「よし！できた」

『佐野手当てへたくそ』

第一私に隊員補佐任せたのお前じゃ、ってツッコミたくなったけどやめた。

「…お前、水着じゃねえのかよ」

『え、なに、佐野つけてほしいの？』

「うっせ、煽んな」

わかりやすく耳が赤くなってる佐野を見て、私と場地は目を合わせて笑った

仕方ない、胸はまな板並だけどつけてきてあげるか

＿＿＿

「お前、これきてろ」

佐野からパーカーをかけられる、いや水着着ろって言ったの誰でしたっけ

『せっかく水着着たんだよ、佐野のために！』

なにか言いたそうな佐野、私の顔をぐいっと寄せると耳元で言った

「いいから着てろ、お前その水着え、ろいから」

＿＿他のやつに見せたくねぇの

『な、な、ななにいってんの』

佐野のばか。

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「ほら帰んぞ」

ドラケンが声をかける、ホーク丸はもう乗れないから仕方なくマイキーはドラケンの後ろ、私は三ツ谷の後ろに乗る

遠慮がちに三ツ谷の服を掴んでいると、お前危ねぇぞちゃんと掴まれ、と手を腰に移動させられた

それを見た佐野がまた拗ねてめんどくさいことになったので一度バイクを止め三ツ谷と佐野が交換した

＿＿＿佐野の後ろ、初めてだ

「A、夏休み俺ん家でお泊まりしよーぜ」

信号待ちのとき、佐野が振り向いて行ってきた

『…する！！』

エマちゃんもいるし、絶対楽しい
みんなも呼んで、パーティーして

『ドラケンとかも呼ぼうよ！三ツ谷も場地も「なにいってんの、俺とお前だけ」

「8月20日、俺の誕生日な」

…佐野の、誕生日、か

え、ふ、2人きりってちょっとえ！？
意識したせいがドキドキが止まらなくなる

真一郎くんにも会えるし、楽しみだな

『わかった楽しみ、』

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『送ってくれてありがと！また皆で行こーね！』

「もうマイキーは連れていかねぇけどな」

「ケンちん酷ぇ！行くもん俺！」

また、みんなで行けると思ってた

＿＿＿＿＿

《もしもし、A》

『どしたのドラケン〜』

8月13日、佐野の誕生日を1週間後に控えていた。
私はお風呂上がりドラケンからの不在着信にかけ直していた

《…落ち着いて聞けよ》

《……真一郎くんが死んだ》

『……………え』

＿＿＿