33、…慣れ合うつもりはないが、あんたの料理には多少興味がある ページ7
驚いたように目を見開いたまま固まる燭台切を見て、Aは顔を曇らせる。
「やっぱり、なんでもない…」
そんな顔を見て、何よりも一番Aのことを大事に思っている刀剣達が何もしないわけがない。
「あぁあ!ごめん、Aちゃん!ちょっと驚いちゃっただけなんだ!もちろんいいよ!」
「よかったね、A!おせちがつくれるよ!」
「Aの料理か…ふむ、興味があるな」
「どんな驚きがあるか楽しみだな!」
「…あんたは黙っていた方がいいんじゃないか?」
「ひどいな、伽羅坊!」
「…慣れ合うつもりはないが、あんたの料理には多少興味がある」
「まぁ、なんだ…がんばったらいいんじゃないか…?」
そこにいた、燭台切、乱、三日月、鶴丸、大倶利伽羅、山姥切が、フォローを次々にした。
Aは、慌てて口々に喋る刀剣達を、目を丸くして見つめていたが、やがてふわりと花開くように微笑んだ。
「うん、ありがとう」
その笑顔に、刀剣達がほっと胸を撫で下ろしたのは言うまでもない。
「じゃあ、台所行こうか」
「わかった」
笑顔で促す燭台切の後に続こうとしたAは、困ったような顔で自分を抱き上げたままの三日月を見遣る。
「…みかづき、はなしてください。ひとりで歩けます」
「いや、なに。ちと料理をしてみたくなってな」
いつも三日月の傍にはAがいるが、実際のところ、Aに三日月がべったりとくっついていると言った方が正しい。(さすがに風呂と厠はついて行かない。風呂は乱の担当)
基本的にこの少女のことを溺愛していて、できるならば常に傍に置いておきたい。という思考のこの本丸の刀達においても、三日月の溺愛ぶりはちょっと目に余るほどである。
「…三日月さん、さすがに……」
「…そうか?」
「ボクもやめた方がいいと思うよ」
「…そうか」
燭台切と乱に止められ、先程の桶をひっくり返した事件とも相まって、仕方なく諦めたようだった。
しょんぼりとした様子でAを降ろす。
「みかづき、わたし、いっしょうけんめいがんばるので、楽しみにしていてください」
そんな三日月を励ますようにAは声を掛け、燭台切の後に続く。
※ちなみにこの後、現世での驚きが覚めていなかったらしく(あと身長差による歩く速度)、少しふらふらしていたAを心配した燭台切が、右手にA、左手に買い物袋を持って、台所に運びました。
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