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咎人の成れの果て ページ4

「Aが……?」

「ただ、ちょっと様子がおかしくて」

「どこだ。どこにいる」


私はすぐに左近の後をついて行った。




ああ、Aの夢を見たからAが帰ってきたのだ。
あれは長い悪夢だったに違いない。きっとそうだ。



思わずにやけそうになった口を押さえて広間に鎮座していた家臣たちには目もくれず、Aを探した。


見つけた。
その名を呼ぼうとした瞬間、私は言葉を失った。


半兵衛様の前にひれ伏すAの前には、首桶があった。


「契りを結んだはずの相手を殺したらしい。しかもその首を連れて戻ってきたと」


鎮座する家臣の中で誰かがそう言った。


Aが、人を殺した?
あのAが?


ともかく先に座していた刑部に座るよう促される。


「どういうことか説明してもらおうか」


半兵衛様は問い詰めるようにAへ尋問する。


「誰がこんな愚策を命じたと聞いているんだ。正直、君には失望したよ。この首は手土産のつもりかい?」


Aは無駄な動作無く顔を上げた。
Aのはずなのに、まるで別の誰かを見ているようだった。


「こちらの方が手取り早いかと思いまして。たかが女一人娶ったところで向こうが裏切らないとは言い難く__」


刹那、乾いた音が鳴る。



容赦ない音が広間に反響した。



私は、それを見ていることしか出来なかった。


「君の意見は不要だよ。命じられたまま君が動いていれば、余計な戦をせずに済んだ」

「半兵衛、そこまでにしておけ」


見兼ねた秀吉様が仲裁する。


「何を言っているんだ秀吉、彼女のせいで君の天下が一歩遠のいた。咎めなければ僕の怒りが収まらない」

「たかが一歩だ。お前の策があれば我が天下を取ることは覆らぬ」


秀吉様の御言葉に半兵衛様は納得されていないのか眉を潜ませた。


Aが戻ってきたことを喜ぶのはどうやら間違いだったらしい。


Aは、罪を犯して戻ってきた。

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三楓(プロフ) - シナシグさん» コメントありがとうございます!過去編は本編の夢だけで済ませるべきかどうかで迷っていましたが、そのように言っていただけてとても嬉しいです(*´∀`*)体調のお気遣いありがとうございます!シナシグさんも体調にはお気をつけください。 (2020年9月8日 0時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
シナシグ(プロフ) - 投稿お疲れ様です!今回の主ちゃんと石田さんの過去編がとても気になっていたのでとても嬉しいです!これからも楽しみにしてます!最後になりますがここ最近体調等を崩しやすい時期ですので何卒ご自愛くださいませ。 (2020年9月7日 2時) (レス) id: 597b4c80db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年9月7日 1時

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