不 ページ8
「(……流石に根を詰め過ぎたか)」
自室でいつも通り職務をこなしていた三成だったが、熱のせいで視界がぼやけ、段々倦怠感も増してきた。
少し休憩してからまた再開しようと壁に背を預ける。
『悪化しても知りませんよ』
ふとAの言葉が過ぎった。
「(私の病が悪化したところで奴には何の関係もあるまい)」
何もしていないと身体が冷え切ってくる。
しかし頭だけは時間が経つにつれ熱を帯びていった。
「失礼します」
ぼんやりしていると、障子の向こうから二つの影が現れる。
影の正体は配下の左近と食膳を持ったAだった。
「なんだ。また私に説教でもしに来たか」
三成の前に食膳を置いて、何やら緊張した様子のAはきちんと背を正した。
「その……左近君と作ったんですが何分料理は慣れていなくて……。口に合わなかったら……ごめんなさい……」
不安を抑えるように太腿の上に置いた両手をぎゅっと握り締めて呟く。
「ひ、一口でもいいので食べてくれませんか！Aさんマジで頑張ったんっスよ！」
必死でフォローする左近。
その隣で、もういっそ消え去りたいと呟いているA。
食膳には割粥と、歪な形をした野菜が入った味噌汁が並んでいた。
「この割粥は包丁で割ったのか」
「スッゲ、よく気が付きましたね。いやぁ……実は最初普通のお粥作ろうとしたら失敗しまして。そしたら刑部さんから罰として米を包丁で割るよう言われたんっス」
三成はそんな割粥を見つめ、どこか懐かしそうに微笑んだ。
「……随分贅沢なやり方だな。無理に砕く必要は無い」
そう言って食膳に手を伸ばす。
味噌汁は少し焦げているような味がしたが、冷えた身体に染み渡るようだった。
「少し焦がしたな？」
「うっ……」
「この野菜もやけに歪な形をしている」
「な、慣れていなくて……」
「この粥も味噌汁も素人が作ったと言われれば納得するな」
「あわわ、三成様もうその辺にして……」
「だが、不味くは無い」
彼なりのぶっきらぼうな労いの言葉が、落ち込んでいたAとそれを慰めていた左近の心に安堵をもたらした。
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黒薔薇の奏者(プロフ) - 三楓さん» 楽しみに待たせていただきます！ (2020年3月23日 6時) (
レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 黒薔薇の奏者さん» 私の作品を好きになっていただきありがとうございます！これからも出来る限りではありますが執筆したいと思うのでどうぞよろしくお願いしますヽ(*´∀｀)ノ (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩ハムさん» 完結まで見ていただきありがとうございました！新作は近いうちにまた書きたいなと思っていますが、気長に待っていただければ幸いです(*´∀｀*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇の奏者(プロフ) - いろいろな作品を読ませていただいました。三楓さんの作品がとても好きです。ドキドキが止まりません。（語彙力がなくてすみません…）応援しています！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
彩ハム(プロフ) - わぁぁ！完結お疲れ様です！もう本当に更新される度に瞬時にきましたw新作……！楽しみに待ってます(*´ｰ`*) (2020年3月22日 3時) (レス) id: a7920f32a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2020年3月13日 1時
