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台所へ向かったはいいものの、肝心の料理人たちは何やら大忙しのようだった。


「悪いね、これから夕餉の買い出しに行かなきゃならないんだ」


料理長は数人の仲間を連れて荷車を引きながら申し訳なさそうに眉をひそめた。


「ところで何を作って欲しかったんだい?」

「三成さんが風邪を引いたようなので何か栄養のあるものをと……」

「三成様かぁ……作ったところで食べて下さるかどうか。まあ、妥当にお粥なんかどうだい?今ある食材は少しくらいなら使ってもいいし、使った道具はちゃんと洗って元に戻してくれればそれで構わないから」


そう言って立ち去ってしまった料理長とその一行。
残されたAは何とも言えない顔をして無人の台所に立った。


そして両手で顔を覆い、膝から崩れ落ちる。


「女が皆料理出来ると思ったら、大間違いだからなッッッ!」


思わず素で嘆く。
明らかに料理長はAが料理が出来る前提で話をしていたが、Aは料理に関してほぼ無知である。
包丁すらまともに扱ったことが無いほどに。


「何が妥当にお粥だ!こっちは野菜の切り方どころか米すらまともに炊けない女だぞ!せめて作り方をだな……!」

「あ、Aさんいた。三成様どうだった?」


ひょこっと台所に顔を出した左近を見て、Aはハッとひらめく。


「左近君丁度良かった。貴方、包丁扱えますか?」

「えっ、急になんっスか。怖い怖い」


詰め寄ってきたAに左近は動揺する。
訳を聞くと先程の料理長と似たような言葉を返した。


「作るのはいいとして、あの三成様が食べてくれるかどうか……」

「食べるのを拒否したら無理矢理ねじ込むまで」

「わーお、大胆」


流石は徳川家康の姉と言うべきか。
今は竹中半兵衛の計らいで女中に成りすましているがら正確には同盟のための人質。
しかしそれに屈している様子は微塵も無さそうだ。


「でもそれ以前に料理が出来なくて」

「言って俺も得意じゃないっス。あ、他の女中さんとかに作ってもらうってのはどう?」

「それ……私の料理下手が露見するだけじゃないですか。徳川の者としてそんな恥は晒したくありません」

「(既に俺には露見してんだけど……)」

「それに、なんかそういうのは違うと言うか、折角作るなら自分で作ってみたいと言いますか……」

挑→←呆



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黒薔薇の奏者(プロフ) - 三楓さん» 楽しみに待たせていただきます! (2020年3月23日 6時) (レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 黒薔薇の奏者さん» 私の作品を好きになっていただきありがとうございます!これからも出来る限りではありますが執筆したいと思うのでどうぞよろしくお願いしますヽ(*´∀`)ノ (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 彩ハムさん» 完結まで見ていただきありがとうございました!新作は近いうちにまた書きたいなと思っていますが、気長に待っていただければ幸いです(*´∀`*) (2020年3月22日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇の奏者(プロフ) - いろいろな作品を読ませていただいました。三楓さんの作品がとても好きです。ドキドキが止まりません。(語彙力がなくてすみません…)応援しています! (2020年3月22日 20時) (レス) id: a44cb40253 (このIDを非表示/違反報告)
彩ハム(プロフ) - わぁぁ!完結お疲れ様です!もう本当に更新される度に瞬時にきましたw新作……!楽しみに待ってます(*´ー`*) (2020年3月22日 3時) (レス) id: a7920f32a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月13日 1時

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