緋色の種子 ページ5
ここはどこだろう?
休む暇も与えられないまま終わらない追いかけっこを続けている。
「まだなの……?まだ逃げないといけないの?長政様……」
頭がふわふわする。
手足が自分のものではないような錯覚を覚える中、お市の問いに答えたのは
「ええい、弱音を吐くでない市!貴様も武士の妻であるならばしっかりしろ!」
人相が変わった
相手は遠からず近からずの距離を保ちながら徐々にお市を追い詰めて来る。
「悪めッ!我が妻は渡さぬ!」
眉間に皺を寄せ、魔の手を使い追っ手を散らす。
手応えを感じたお市は肩で息をしながら再び安全な場所を求めて駆け出した。
捕まるわけにはいかない。
あの男の元へ行ってはならぬと長政様が言っている。
もっと遠くへ逃げろと長政様が言っている。
だから逃げなきゃ。
もっともっと遠くへ逃げなきゃ。
休みなく動かす足元から視線を上げた瞬間、お市の歩みが止まる。
三人の男が行く手を阻んでいた。
「見つけたぞ」
一人の男が鋭い眼光でお市を睨む。
身体中から冷や汗が止まらない。
緊張で呼吸が更に苦しくなっていくのが分かった。
パニック状態のお市に赤毛の男が近づいた。
「こっ……来ない__」
思わず目を瞑った。
しかし赤毛の男はお市を通り過ぎ、彼女の背後に迫っていた追っ手に一撃を加えた。
「……えっ?」
「三成様、この人が魔王さんの妹で間違いないっスか?」
「ああ、その女で間違いない」
状況を呑み込めていないお市は挙動不審になりながらもう一度男たちの顔を確認した。
赤毛の青年と包帯の男は知らないが、白銀の髪の男は知っている。
以前Aと共に小谷城へやって来た男。
戸田屋敷にもいた男。
「あなた……Aと一緒にいた……」
“A”の名を出した時、男の眉が微かに動いた気がした。
男は己の家紋が刻まれた柄の頭をお市に向ける。
「魔王の妹、共に来てもらおう。拒否は認めない」
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三楓(プロフ) - 鈴さん» なんと!まさか私の作品がきっかけでBASARAを始めて下さるとは...とても嬉しいです!皇は操作できるキャラが多いので色んなキャラやストーリーに触れることが出来ると思います。是非是非やり込んでみてください!またこの度は完結まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年3月11日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - …読んでいて ドキドキしたり、ハラハラしたり色々な気持ちになれて楽しかったです!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてありがとうございます!!とても面白く 更新が楽しみでした!三楓さんの三成さまが大好き(もちろん 他のキャラクターも大好き)です。また、三楓さんの作品がきっかけでBASARAを(皇から)始めました!上手くまとめられないのですが… (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメありがとうございます!お陰様で今回も無事完結することが出来ましたヽ(*´∀`)ノキャラは基本原作に近い形でと思いながら書いているのでキャラ崩壊が不安ではありましたが、そのように言っていただきとても嬉しいです!次作も時間が許せば是非書きたいと思います! (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» こちらこそ物語を最後まで見届けていただきありがとうございます!賞賛いただき私は涙腺が崩壊しました(´TωT`) (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年1月1日 2時