孤独を背負う者 ページ4
昼下がり、調合した薬を整理していた家康の元に天海が現れる。
「どうした?」
「少し胃薬を頂けないかと思いまして。金吾さんがまた食べすぎたので」
「やれやれ困った奴だな」
苦笑いしながら家康は棚から胃薬を取り出し、それを天海へ渡す。
薬の成分と服用する時間を説明した後、再び作業に戻った。
「そういえば最近、凶王が妙な動きをしているようですよ」
「妙な動き?」
「仲間を集める傍ら、竹中半兵衛を探しているとか」
「……亡霊を求め彷徨っているのか」
家康はAが半兵衛を殺したと思い込んでいる。疑ってすらいないのだろう。
彼女に処分を下したのはあくまでも三成が絡んでいたからだ。
まさか竹中半兵衛も匿っていたと知れば、彼は一体どんな反応をするだろう。
姉弟同士の殺し合いを想像して、天海は決して見られることのないマスクの下で薄い唇を引き上げる。
「……しかし、お市殿は一体どこへ行ったんだろうな」
「さぁ……?彼女もまた亡霊を求め彷徨っているのかもしれませんね」
安土城の偵察という名目で天海と会っていた家康はある提案をされた。
織田は小谷城でお市を保護したあと、彼女を仕立て上げ、再び織田復興を目指していた。
しかし浅井の軍として兵を挙げたお市は加賀から安土城へ戻る最中忽然と姿を消したという。
豊臣の在り方に疑念を抱いていた家康は、お市を探すことを条件に織田と結託した。
そして同士を掻き集める傍ら、お市を探していたのである。
天海が以前何をしたか忘れているわけ無い。
無論、最初はそんな話に耳を傾けないでいた。
だが、天海の背後には金吾もとい小早川秀秋の存在があった。
小早川秀秋は人間性こそ臆病で優柔不断な男だが、豊臣傘下の者であり同時に豊臣の在り方に疑念を抱く者でもあった。
今は三成の下で従順そうに振舞っているようだが、既に小早川は家康側の人間だ。
これも天海が暗躍しているお陰と言ってもいいだろう。
天海が織田に手を貸すのも小早川秀秋のためだと言っていた。
存外、味方にすれば悪い男ではないのかもしれないというのが天海に対する結論だった。
「こんな時に姉上だったらお市殿が行きそうな場所を答えてくれるだろうな」
「仲が宜しいんでしょう?あのお二人」
「ああ、織田にいた頃からの友人らしい」
ふうん、と相槌を打つ天海に家康は疑惑の目を向ける。
悪い男ではない。
だが、彼を信用出来るかと言われればその答えはまた違った。
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三楓(プロフ) - 鈴さん» なんと!まさか私の作品がきっかけでBASARAを始めて下さるとは...とても嬉しいです!皇は操作できるキャラが多いので色んなキャラやストーリーに触れることが出来ると思います。是非是非やり込んでみてください!またこの度は完結まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年3月11日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - …読んでいて ドキドキしたり、ハラハラしたり色々な気持ちになれて楽しかったです!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてありがとうございます!!とても面白く 更新が楽しみでした!三楓さんの三成さまが大好き(もちろん 他のキャラクターも大好き)です。また、三楓さんの作品がきっかけでBASARAを(皇から)始めました!上手くまとめられないのですが… (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメありがとうございます!お陰様で今回も無事完結することが出来ましたヽ(*´∀`)ノキャラは基本原作に近い形でと思いながら書いているのでキャラ崩壊が不安ではありましたが、そのように言っていただきとても嬉しいです!次作も時間が許せば是非書きたいと思います! (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» こちらこそ物語を最後まで見届けていただきありがとうございます!賞賛いただき私は涙腺が崩壊しました(´TωT`) (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年1月1日 2時