厭魅 ページ30
そこは僅かな光の侵入さえ許さない。
声を上げても一切反響しない。
自分の手さえも認識出来なくなるほどの暗闇に、恐怖と孤独だけが肥大していく。
長時間滞在していれば正気ごと食い破られそうだ。
そうなれば、魔王の糧となるのも時間の問題だろう。
冗談じゃない、と余計な考えは捨て、三成は進んでいるか後退しているかも分からない暗闇を進んだ。
方向感覚も時間感覚も徐々に狂っていく。
ただ正気だけは失わぬよう意志を強く持った。
気がつけば暗闇だった景色が一変、突如現れた灰色の空に硝煙が巻く。
大勢の喧騒、法螺貝や銃声、甲高い金属音が鼓膜を直接刺激する。
これは……合戦？
武装した人々が違える旗を見つけては殺し合っている。
三成はそれを少し遠目で傍観している。
「なんだこれは……」
Aの紛い者を追って本能寺の中へ飛び込んだまでの記憶はあっても、どこかその記憶に現実味を感じない。
混乱する三成の手には剥き出しになった刀が。
先端からは赤い血が滴っていた。
刃の先には絶命した誰かが倒れていた。
一気に鼓動が早くなる。
耳元で心臓が脈を打っているようだ。
頭がいくら「見るな」と警告を出しても、自分の目で確かめなければ状況を打破出来ない。
何が起きてる。
私は何をしていたんだ。
……好奇心とは時に残酷である。
例えば目の前に深い崖が現れたとして、どのくらいの深さがあるか、落ちたらどうなるのかと考えている者に、「もっと近くで見てみなよ」と惑わせてから最後は静かに背中を押す。
そして二度と這い上がれなくなった者を崖の上から見下ろして嘲笑うのだ。
好奇心に背中を押された三成は言葉を失った。
それは絶命していた人物が家康だったから？
それとも、自分を背後から奇襲した人物がAだったから？
『返してッ……返して返して返してッ！私の、たった一人の家族を……』
泣きじゃくりながら家康に手を下した三成を滅多刺しにするA。
痛みは感じなかった。
ならばこれは夢なのだろう。
ただ、すり抜けていく短刀が虚しかった。
胸が軋む。喉元が酷く圧迫される。
ああ、私がどれだけAを想おうとも……
最後はこうなる未来が待ち受けているのだろうか。
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三楓(プロフ) - 鈴さん» なんと！まさか私の作品がきっかけでBASARAを始めて下さるとは...とても嬉しいです！皇は操作できるキャラが多いので色んなキャラやストーリーに触れることが出来ると思います。是非是非やり込んでみてください！またこの度は完結まで閲覧頂きありがとうございました！ (2020年3月11日 3時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - …読んでいて ドキドキしたり、ハラハラしたり色々な気持ちになれて楽しかったです！！ (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてありがとうございます！！とても面白く 更新が楽しみでした！三楓さんの三成さまが大好き(もちろん 他のキャラクターも大好き)です。また、三楓さんの作品がきっかけでBASARAを(皇から)始めました！上手くまとめられないのですが… (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメありがとうございます！お陰様で今回も無事完結することが出来ましたヽ(*´∀｀)ノキャラは基本原作に近い形でと思いながら書いているのでキャラ崩壊が不安ではありましたが、そのように言っていただきとても嬉しいです！次作も時間が許せば是非書きたいと思います！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» こちらこそ物語を最後まで見届けていただきありがとうございます！賞賛いただき私は涙腺が崩壊しました(´TωT｀) (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2020年1月1日 2時
