再戦 ページ27
その夜、本能寺が出現したとの報告が入った。
出現場所は昨日と同じ。負傷者が多い中、三成を始めとした余力のある人材を寄せ集めた部隊が本能寺の調査に赴くことに。
出発前、彼らの前に半兵衛が姿を現した。
「半兵衛様!」
「そのままでいい。僕は君たちの見送りに来ただけだ」
咄嗟に跪こうとした三成たちを制する。
松明が灯してあるとはいえ、半兵衛の姿は影がかかっていてよく見えない。
「魔王が復活すればこの世は更に混沌化する。全ては君たちの働きにかかっているんだ。……頼んだよ」
「はっ!」
兵士たちの覇気溢れる返事を聞いて半兵衛は安堵したように口元を歪めた。
彼らの背を見送ったあと、屋敷内がやけに慌ただしくなる。
「半兵衛様ッ!しっかり……くださ……半兵……さ……」
自分を呼ぶ声が遠ざかっていく。
以前から彼の身体は病魔に蝕まれ、いつ倒れてもおかしくない状態だった。
しかし徳川の屋敷でAに匿われていた頃、彼女から密かに貰っていた病の進行を遅らせる薬のお陰でなんとか保てていたがそれも限界が来たようだ。
「(大丈夫、僕は僕で役目は果たせた。あとは大谷君が……)」
何も聞こえなくなった世界でただ一人、半兵衛は最期に夢半ばで生涯を閉じた友の名を口にした。
*******
昨日と変わらず……否、それ以上の禍々しさを纏った本能寺。
少し離れた場所からも魔の根が張っていた。
物陰に潜み様子を伺う中、勝家が目を凝らしてぽつりと呟く。
「……我々の他にも向こうの物陰に人がいるようだ」
「敵か?」
「……暗すぎて把握は出来ない」
「だったら俺が見てきますよ」
最初に名乗りを上げた左近に「気をつけろ」と念を入れて三成は彼を派遣した。
恐らく物珍しさに近付いてきた山賊だろう。
余計な死人を出せば死者を養分とする魔王の力が更に増してしまう。
「……石田氏、扉が開くぞ」
勝家の声に乗って本能寺の扉が鈍い音を立てて開く。
その中から現れたのはA。
忙しなく周囲を見渡す彼女は物陰に隠れているはずの三成たちの方へ歩みを進める。
「見ィツケタ」
声色も姿もAと何一つ変わらないはずなのに、やはりソレは本物と何かが決定的に違った。
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三楓(プロフ) - 鈴さん» なんと!まさか私の作品がきっかけでBASARAを始めて下さるとは...とても嬉しいです!皇は操作できるキャラが多いので色んなキャラやストーリーに触れることが出来ると思います。是非是非やり込んでみてください!またこの度は完結まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年3月11日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - …読んでいて ドキドキしたり、ハラハラしたり色々な気持ちになれて楽しかったです!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてありがとうございます!!とても面白く 更新が楽しみでした!三楓さんの三成さまが大好き(もちろん 他のキャラクターも大好き)です。また、三楓さんの作品がきっかけでBASARAを(皇から)始めました!上手くまとめられないのですが… (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメありがとうございます!お陰様で今回も無事完結することが出来ましたヽ(*´∀`)ノキャラは基本原作に近い形でと思いながら書いているのでキャラ崩壊が不安ではありましたが、そのように言っていただきとても嬉しいです!次作も時間が許せば是非書きたいと思います! (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» こちらこそ物語を最後まで見届けていただきありがとうございます!賞賛いただき私は涙腺が崩壊しました(´TωT`) (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年1月1日 2時