検索窓
今日:17 hit、昨日:1 hit、合計:14,988 hit

奈落の底 ページ21

騒ぎを聞きつけた豊臣の家臣たちがAたちの元へ加勢する。

加勢は頼もしいが、密集すればするほど動きが制限された。
室内ならば尚更、自分勝手な行動ばかりすればすぐ横にいた人物が餌食となる。


「このままでは埒が明かん!外へ誘導しろ!」


痺れを切らした誰かがそう声を上げた。


「外は駄目だ!下手をすれば城下町にも被害が及ぶ!」

「何を言う!これ以上室内で戦えばそれこそ死者が増えるだけだ!」

「しかし……!」

「ええい退け!女になど構ってられん!」


兵士はAを押しのけ、「こっちだ化け物!」とお市を誘導した。

苦しそうなお市の身体には魔の手が絡みつき、無理矢理彼女を立ち上がらせる。足元の棘は死者の身体を貫き、植物の根のように養分を啜っていた。


「ふ、ふふっ……そう、もっと欲しいのね……にいさま」

「お市さん!しっかりしてください!」


外へ出ようとするお市の前にAが立ちはだかる。
しかし彼女の瞳には全く別のものが映っていた。


「……ふふ、綺麗な黒百合」

「え?」

「にいさまもきっと喜ぶわ」


お市は妖しく口角を上げる。

次の瞬間、Aの足元に奈落が出現した。
音もなく迫ったそれを交わす手立てなど無く、足場を失ったAは重力に従ってあるはずの無い場所へ誘われる。


「Aッ!」


勝家は落ちていくAの腕に手を伸ばす。


「かつい__」


Aも必死で彼の手を取ろうとしたが、指先が掠っただけで虚しくもそのまま闇の中へ落ちていった。


「A!返事をしろA!」


ただの床に戻った場所に何度も呼びかける。
お市はそんな勝家を憐れに見下しながら、獲物がいる外へ向かった。

ノに咲く華→←魔王の贄



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (18 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
21人がお気に入り
設定タグ:戦国BASARA , 石田三成 , 三楓
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

三楓(プロフ) - 鈴さん» なんと!まさか私の作品がきっかけでBASARAを始めて下さるとは...とても嬉しいです!皇は操作できるキャラが多いので色んなキャラやストーリーに触れることが出来ると思います。是非是非やり込んでみてください!またこの度は完結まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年3月11日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - …読んでいて ドキドキしたり、ハラハラしたり色々な気持ちになれて楽しかったです!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてありがとうございます!!とても面白く 更新が楽しみでした!三楓さんの三成さまが大好き(もちろん 他のキャラクターも大好き)です。また、三楓さんの作品がきっかけでBASARAを(皇から)始めました!上手くまとめられないのですが… (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメありがとうございます!お陰様で今回も無事完結することが出来ましたヽ(*´∀`)ノキャラは基本原作に近い形でと思いながら書いているのでキャラ崩壊が不安ではありましたが、そのように言っていただきとても嬉しいです!次作も時間が許せば是非書きたいと思います! (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» こちらこそ物語を最後まで見届けていただきありがとうございます!賞賛いただき私は涙腺が崩壊しました(´TωT`) (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:三楓 | 作成日時:2020年1月1日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。