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根色闇 ページ19

報せを受けたあと、三成はすぐに本能寺が出現した場所へ向かうため支度をした。

本能寺は織田信長が最期を迎えた場所。
信長復活に関係している可能性は十分にあった。


「私も同行する」


襟を整え、部屋をあとにしようとしたAに三成が待ったをかけた。


「貴様はここに残れ。まだ傷が癒えてないだろう」

「戦えないことは無い。それに信長の復活を阻止することが本来の目的だ」


Aの瞳には信長に対する因縁の淀みがあった。
多くの殺戮を繰り返した魔王が今現世に蘇ろうとしている。それは何としてでも食い止めなくてはならない。
しかし……。


「許可しない。外部の連中が魔王の妹を連れ去るため現れるやもしれん。貴様はその時まで待機だ」

「待ってください。その役目は勝家が__」


異論は認めないと言わぬばかりにAの傍を横切り、わざと音を立てて障子を閉めた。

時間は丑三つ時に迫る。
魑魅魍魎共が地上に跋扈していてもおかしくない時間帯だ。

障子を閉めた手には、未だAの肌に触れた感触が残っていた。
何度も瘡蓋が出来たような痕。
柔和な肌に似つかわしくない痛々しい傷や痣。
顔を近づけた瞬間香った彼女自身のものとは違う薬草の匂い……。


甲冑の下は想像していたよりも脆かった。

改めてそのことを目の当たりにしたせいで一気に血の気が引いた。


Aを戦場に出せば、Aは死んでしまうかもしれない。
私の知らないところで朽ち果ててしまうかもしれない。
ようやく、僅かな安らぎを得られると思ったのに……。


秀吉の一件以来、親しい者の裏切りと死に別れに対して敏感になってしまった三成は肥大化していく軟弱な心に押しつぶされそうになりながらも豊臣の臣としての誇りを忘れてはならないと自らを鼓舞した。

城のことは半兵衛や吉継らに任せて、数人の供を連れ出立する。


報告があった場所へ近づくにつれ赤い霧が立ち込めた。


「なんだ、これは……!」


彼らが目の当たりにしたのは獣が食い散らかしたような血の跡と本能寺から一つの生命体のように動く棘型の魔の手。

今まで感じたことの無い恐怖がことの重大さを物語っていた。

魔王の贄→←憂



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設定タグ:戦国BASARA , 石田三成 , 三楓
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三楓(プロフ) - 鈴さん» なんと!まさか私の作品がきっかけでBASARAを始めて下さるとは...とても嬉しいです!皇は操作できるキャラが多いので色んなキャラやストーリーに触れることが出来ると思います。是非是非やり込んでみてください!またこの度は完結まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年3月11日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - …読んでいて ドキドキしたり、ハラハラしたり色々な気持ちになれて楽しかったです!! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてありがとうございます!!とても面白く 更新が楽しみでした!三楓さんの三成さまが大好き(もちろん 他のキャラクターも大好き)です。また、三楓さんの作品がきっかけでBASARAを(皇から)始めました!上手くまとめられないのですが… (2020年3月10日 23時) (レス) id: 2bf802d9a7 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメありがとうございます!お陰様で今回も無事完結することが出来ましたヽ(*´∀`)ノキャラは基本原作に近い形でと思いながら書いているのでキャラ崩壊が不安ではありましたが、そのように言っていただきとても嬉しいです!次作も時間が許せば是非書きたいと思います! (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 天智就佐さん» こちらこそ物語を最後まで見届けていただきありがとうございます!賞賛いただき私は涙腺が崩壊しました(´TωT`) (2020年3月10日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年1月1日 2時

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