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佐和山城怪綺談2 ページ2

Aの頼みとあらばと場所を提供したのは、佐和山城の主である三成。

普段は軍議に使う広間を怪談話をするためだけに貸し切ったようで、左近とAが訪れた時には光が漏れぬよう周囲を布で覆ったり、中央に蝋燭の準備などが施されていた。


「遅いぞ貴様ら」

「なんで三成様そんなノリノリなんッスか……」

「Aの頼みだ。これくらい当然のこと」


ふんっと鼻を鳴らした彼の向かい側には刑部も鎮座している。


「早に来い。我がとっておきの怪談話をしてやろう」

「楽しみです!」


左近以外の三人は、和気あいあいとしながら楽しんでいる。


「ちょーっと待った!A、よーく考えてみ?怪談話だぜ?平気なのか?」

「怖い話は怖いけど面白いので好きです」

「そういうことじゃなくてだな!ほら、血とか出る話だったらどうする!?」

「貴様、Aを脅しているつもりか?」


唐突に会話に入ってきた三成に、左近は動揺しながら違うと首を振る。


「あ、そういうことでしたら大丈夫です。実際に見ていないものなら想像出来ませんので怖くないです」


Aのまともな言葉に、左近の希望が砕け散る。
かといってこのまま一人あの蒸し暑い中にいるのはごめんだった。


結局、この場の行動は一つしかない。


「あー!もう、ヤケクソだっ!聞いてやる!聞いてやりますよ!想像しなければ、こっ、怖くねぇし!」


真夏の怪談話、最初はAから始まる。

『葛篭の中身(前編)』→←【番外編】佐和山城怪綺談



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作者名:三楓 | 作成日時:2018年6月24日 20時

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