忍びゆる影 ページ48
やがて大阪城に着く。
屋敷に戻ると、護衛や女中達はAの無事を泣いて喜んだ。
助「A様ぁぁ御無事でなによりでずぅぅ」
白装束に身を包んだ助が、Aの前で泣きながら頭を垂れていた。
Aが攫われたのは護衛である自分の責任だと、A達が大阪に戻る少し前に腹を斬ろうとしたらしい。
A「汝は私より若いのに命を粗末にしてはいけません」
「兄上は早とちりが過ぎるんだよ」
Aに慰められる兄を見てか、弟は冷めたように溜息を吐く。
助「お前だってA様が攫われて慌てていたじゃないか!」
「そ、それは全員そうだった!僕だけじゃない!」
ヤケになる弟に、Aも助も、そしてその場にいた彼の同僚も笑いだした。
*******
一方、三成は三成で事情を話すようにと半兵衛に呼び出され、許しもなく勝手な行動をしたことをこってりと説教された。
半兵衛「二人共無事だったからよかったものの…以後行動には気を付けるように」
三成「…申し訳ございませんでした」
A「竹中殿、そう怒らないでください。石田殿は私を助けてくれたんですよ?」
護衛と女中からやっと解放されたAは、三成の隣に腰を下ろして弁解をした。
半兵衛「君は屋敷を出ないようにとあれほど忠告したじゃないか。僕はいずれこうなることを予想して…」
A「あーあー聞こえません」
半兵衛「A殿、反省しているのかい?」
案の定、半兵衛を更に怒らせたようだ。
三成「半兵衛様、A様は屋敷を脱走したから攫われたのではなく、元々屋敷にいて…」
A「竹中殿の雷が落ちる前に逃げるが勝ちです!逃げますよ石田殿!」
三成の肩をぽんっと叩き、Aは部屋去って行った。
三成「はっ!?お、お待ちくださいA様!」
反射的に走り去ったAを追う三成。
残された半兵衛は怒りを通り越して、ただ呆れるしかなかった。
半兵衛「…やれやれ。A殿には手を焼く」
ふうっと溜息を吐いたあと、彼は僅かに口元を歪める。
義輝との戦で撤退を余儀なくされ、行き場のないもどかしさを抱えていた。
だが、Aに呆れたことによって少しずつだが肩の力が抜けていく。
半兵衛「いつまでも負けを引きずっている場合じゃない。早く次の策を…」
刹那、左胸に刺されたような痛みが走る。
喉元を抑えながら、呼吸も出来ないほど半兵衛は咳き込んだ。
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わんこ大暴走 - 三楓さん» よろしくお願いします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - わんこ大暴走さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)小説の方、是非拝見させて頂きますね。友達ですか!私でよければどうぞよろしくお願いします! (2017年11月26日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - あと、よろしければ、お友達になっていただけませんか? (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - わぁ!すごいです!ボクもBASARAの作品書いてます!読んでみてください! (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年10月30日 12時