夢現 ページ42
Aは朦朧とした意識の中、何かに揺られている夢を見た。
いや夢ではない。
大きく揺れた際、額を何かの角でぶつけた痛みがAを現に返した。
どうやらAは輿に乗っているようだ。
やがて揺れが治まると横の方から光が射す。
出ろ、という意味だろう。
輿から顔を出すと、輿を担いでいた二人の男がAに頭を垂れていた。
そのうちの一人…Aを屋敷から連れ去った男が口を開く。
「手荒な真似を致しましたこと、どうかお許しください」
A「まずはどういうことか説明していただけますか?私を人質にするというのなら、今ここで自刃して…」
「豊臣の姫は随分と気が短いのねぇ」
突然声をかけられAが振り返ると、腕に巻いた布を弄ぶ女が彼女を舐めるように見ていた。
A「…汝は?」
マリア「妾のことはマリアと呼んで頂戴。あ、
状況が読めていないAの手を取り、マリアは得意げに彼女をどこかへと案内する。
A「な、なんですか急に!」
マリア「何って、温泉よ温泉。加賀に来たからには温泉に浸からなくちゃ。心配しなくても、今日は妾と貴方で貸し切りよ」
A「加賀?」
Aは周囲をぐるりと見渡した。
確かに、加賀を治める前田家の屋敷がある。
随分前に慶次からまつの手料理の話を聞き、一度は食してみたいと訪れたきりだ。
とても穏やかな土地だったのを覚えている。
だが今の加賀は、Aが記憶しているものとは全く違った光景。
前田、上杉、そして豊臣の旗印。
戦の最中だとすぐに察しがついた。
A「温泉に浸かっている場合ですか。向こうは戦をしていますよ!」
Aは戦場に目を向け、マリアに避難するよう促すが、彼女は呆然と戦場を見つめた後あろうことか「だからどうしたの?」とAに尋ねる。
マリア「殿方は殿方で好きにさせればいいじゃない。それとも…貴方の中で血が騒ぐのかしら?」
A「何を…」
マリア「うふふ、それはそれでいいのよ?でも今は妾の相手をして頂戴」
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わんこ大暴走 - 三楓さん» よろしくお願いします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - わんこ大暴走さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)小説の方、是非拝見させて頂きますね。友達ですか!私でよければどうぞよろしくお願いします! (2017年11月26日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - あと、よろしければ、お友達になっていただけませんか? (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - わぁ!すごいです!ボクもBASARAの作品書いてます!読んでみてください! (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年10月30日 12時