予感 ページ40
「秀吉様!火急の知らせにございます!」
斥候の馬が近づいて来るなり、秀吉は軍勢を止めた。
斥候は馬から降り、秀吉の前で頭を垂れる。
秀吉「何事だ」
「先程前田領に別の御旗が立ちました!旗印は上杉!」
半兵衛「やっぱり前田は上杉に援軍を頼んだか」
思った通りと半兵衛は口元を僅かに歪める。
半兵衛「上杉と言っても恐れることはない。旗を掲げているだけで、軍神が直接率いているというのは可能性として極めて低い」
軍神というのは、越後を治める上杉謙信のことだ。
毘沙門天の化身とも謳われる彼は、私利私欲のための戦は一切行わない。
だが、戦場に出れば圧倒的な強さを持つ戦の申し子で、敵に回せば厄介この上なかった。
秀吉「ならば行くぞ。援軍が来ようと砕くまでよ」
半兵衛「そうだね」
秀吉の軍勢は再び馬を走らせる。
そんな中、三成は微かに胸騒ぎを覚えた。
刑部「どうした三成」
三成「…いや、大したことではない」
胸の内がざわざわと気持ち悪い。
このざわつきは風で揺れ動いている葉の音だと思いたいものだ。
*******
大阪城、屋敷奥の間。
秀吉達が進軍した後、Aは言いつけ通り大人しく部屋にいた。
すると、何やら廊下の方が騒がしい。
「姫様、先程間者が入りまして…どうやら姫様の御命を狙っているようにございます」
障子の影に護衛の姿が映る。
「急ぎ、安全な場所へ避難を」
A「分かりました」
Aが部屋の障子を開けると、いつの間にか護衛の姿が消えていた。
A「…?」
助「A様!早く部屋にお戻りください!」
助の声がして首を傾げた刹那、消えたと思っていた護衛が天井から煙玉を投げた。
廊下に転がった煙玉は、回転しながらA達の視界を奪う。
Aはすぐに部屋へ引き返そうとしたが、背後から布のようなものを嗅がされ、そのまま意識を失ってしまった。
助「ごほっ…A様!ご無事ですか!」
視界が次第に晴れていく。
Aの安全を確認しようと助が顔を上げるが、案の定彼女の姿は煙と共に消えていた。
「まさか、敵はA様を人質に…?」
Aの部屋を捜索していた同僚の護衛は、嫌な汗をかいた。
助「そんなことを考えている場合か!俺は門番に怪しい者が通らなかったか聞いてくる!お前は交代を待っている護衛に声をかけてきてくれ!」
「お、おう!」
屋敷には瞬く間に緊張が走った。
74人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わんこ大暴走 - 三楓さん» よろしくお願いします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - わんこ大暴走さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)小説の方、是非拝見させて頂きますね。友達ですか!私でよければどうぞよろしくお願いします! (2017年11月26日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - あと、よろしければ、お友達になっていただけませんか? (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - わぁ!すごいです!ボクもBASARAの作品書いてます!読んでみてください! (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2017年10月30日 12時