陰り ページ37
半兵衛「先に広間へ行ってくれ。僕は倉庫から地図を取って来るから」
三成「お手伝い致しましょうか?」
半兵衛「いや、地図だけだし構わないよ」
やんわりと断った半兵衛は、すぐに倉庫へと足を運んだ。
倉庫は少し埃っぽく、全国の状況をまとめた物や、兵法の書などが積まれている。
半兵衛「大掃除はしたはずなんだけど…」
僅かに埃を吸ってしまい、こほっと咳をする。
棚の上に丸められた全国地図に手をかけた瞬間、僅かに眩暈がした。
半兵衛「っ…!」
すぐに壁に手をついたので倒れることはなかったが、動悸が治まらない。
…半兵衛は生まれつき病弱で、稀にこういう事が起きるのだ。
医者は安静にしてくださいと何度も忠告していたが、彼はそれを無視。
最近は多忙の為休む間すらも惜しかった。
半兵衛「(…大丈夫、戦が終われば少し休めばいい)」
一度深呼吸をして、彼はすぐに軍議へと向かった。
そんな彼の身体を、病魔はゆっくりと蝕んでいく。
*******
助「石田様にお言葉をかけなくてよかったのですか?」
半兵衛と三成が居なくなった後、Aの部屋には助ともう一人の護衛が居座っていた。
A「言葉など不要でしょう。石田殿はもう私の護衛ではありませんから」
助「そうですけど…随分とご寵愛なされていたではありませんか」
すると助の隣にいたもう一人の護衛は、腕を組みながらこんなことを言った。
「石田様は凶王と恐れられる方と聞いていましたが…今までを見る限りそこまで恐ろしい方ではありませんでしたね」
助「あ、それは俺も思いました。石田様がいらっしゃると聞いた日は恐怖のあまり夜も寝れなかったことを覚えています。当日も緊張して…」
助は苦笑しながら自虐話を始めた。
A「凶王、ですか」
誰が名付けたか知らぬその異名をAは口ずさむ。
今までAが接してきた三成からは想像出来ぬなんとも不吉な名だ。
A「…護衛が一人減るとなれば、寂しくなりますね」
彼女はそう言って、僅かに開いていた扇子をパチンッと閉じた。
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わんこ大暴走 - 三楓さん» よろしくお願いします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - わんこ大暴走さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)小説の方、是非拝見させて頂きますね。友達ですか!私でよければどうぞよろしくお願いします! (2017年11月26日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - あと、よろしければ、お友達になっていただけませんか? (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - わぁ!すごいです!ボクもBASARAの作品書いてます!読んでみてください! (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年10月30日 12時