城下町 ページ4
大阪城、城下町。
多くの商人や南蛮から渡って来た宣教師など様々な人々がその地を歩む中、継ぎ接ぎに縫われた着物を身に着ける子どもは、店を見渡していた女に目を付けた。
見た目は質素な服だが素材は高価なもののようで。
誰かを追いかけるふりをして彼女にどんっとぶつかる。
「わっ、ご、ごめんなさい…」
「人が多いから走ると危険ですよ」
女に優しく注意され、子どもは小さく頭を下げたまま走り去る。
その手には、彼女からスった巾着袋が。
「ご愁傷様だねぇ。スられたのにも気づかず危険ですよって。アンタが危険ですよだってーの」
子どもは路地裏に向かい、早速巾着袋を開いた。
「これだけ重いと相当入ってるな。さーて、金目のものは…」
巾着袋を逆さにするが、じゃらじゃらと小さな手に落ちてきたのは歪な形の小さな貝殻だ。
「は!?なんだよシけてんな!」
「では返していただけますか?」
子どもは背後から聞こえた声にびくりと肩を震わせ、恐る恐る後ろを見た。
先程ぶつかった女が、子どもの目線に合わせて屈んでいる。
「うわっ!な、なんで…!」
「私の巾着袋が汝の手にあったので、不躾ながら追いかけて来ました。これに懲りてスリから足を洗いなさい」
唖然とする子どもの手から巾着袋を取り、「貝殻はあげます」と言って女は再び人の波にのみこまれていく。
そんな彼女の後を追う影を、子どもはただ貝殻を握りしめて見ることしか出来なかった。
*******
三成「見つけましたよA様」
空の巾着袋を懐に仕舞っていたAの肩に、三成はそっと手を置いた。
まさかこうも早く見つかると思っていなかったのか、Aは目を丸くし、すぐに気を許した時のような表情を見せる。
A「護衛は結構だと申し上げたはずですが?」
三成「脱走するA様を捕まえるとなれば話は別です」
A「助はお喋りで困りますね」
ふうっと溜息をついた刹那、Aは三成の手からするりと逃れ、再び人混みの中に紛れた。
三成「なっ…お待ちくださいA様!」
女だからと侮って、力を入れていなかったのがいけなかった。
三成は再び、Aを追う。
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わんこ大暴走 - 三楓さん» よろしくお願いします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - わんこ大暴走さん» コメントありがとうございます(*´∀`*)小説の方、是非拝見させて頂きますね。友達ですか!私でよければどうぞよろしくお願いします! (2017年11月26日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - あと、よろしければ、お友達になっていただけませんか? (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
わんこ大暴走 - わぁ!すごいです!ボクもBASARAの作品書いてます!読んでみてください! (2017年11月26日 2時) (レス) id: 6622ba9bfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年10月30日 12時