09' 偏頭痛 ページ11
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「あなたのほかに女性はいらっしゃるの？
ぜひ挨拶させていただきたいわ。」
なんとなくこの子の思惑は理解した。
きっと、好きな相手の周りから、自分にとっての邪魔者を消したいんだ。
でも、その必要性はとても感じられない。
既に婚約は決まっているわけだし、あいつに想い人が居たとしても焦ることもないはず。
とにかく、今は彼女から離れて体を休めたい。
さっきから妙に動悸がして気分が悪い。
『えっと…同学年にひとり、私と同じプロデューサー業務を務めてる子なら。』
あんずちゃんを売っているようで申し訳ないけど、今はこれが最善だと考えた。
ここから離れて、朔間先輩に報告して、それから、
「…確かに、あなたのような方を司様が選ぶとも思えませんわ。
あなた根暗なようですから、相手にもされないんでしょうね。可哀そうに。」
は？なにそれ。
相手にされてないのはどっちよ。
『……ええ、根暗なので、あんな慇懃無礼な後輩は御免です。
相手にされないのはあなたの方でしょ。』
ああ、あの罰ゲームを思い出してしまった。
私だって関わりたくて関わってわけじゃないのに。
苛つきを残して、来た道を進む。
すると、背中越しに彼女の声色が変わったのがわかった。
「…あなたに司様のなにがわかるの？」
知ってる、この哀しそうに軽蔑しきった声。
あ、と気づき彼女の方を振り返る。
そりゃあこんなに好きなんだもんね、怒るに決まってる。
ほんとあの頃と何も変わってない。
朔間先輩…一体私の何が変わったっていうの？
ああ苦しい。逃げたい。
でも、今はふんばらないと……
ふといきなり両肩に手が置かれた。
驚いて顔を向けると、つい目頭が熱くなった。
すごく会いたかった人だから。
「ふふ、また肩が強張っちゃってるわよォ？
リラックスリラックス〜♪」
『うそ、なるちゃん…』
太陽みたいに眩しくて可愛い笑顔に
ああ、好きだなって。
私は君に心底惚れてるのかもしれない。
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作者名：さな | 作成日時：2022年9月4日 21時
