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沖田side
「あ、あの…」
そっと開かれる襖
「なんでィ」
「えっと、その……」
「早く言いなせェ」
「暇、じゃないですか」
「………」
あれからずっと俺はコイツと話し込んでいる。コイツは俺がどんな話をしても心底楽しそうに聞いていた。変な奴。今思えばこの時から俺はコイツに惚れていた気がする。
「なんか、私、貴方の話を聞くばかりで何も喋ってないですね」
「…んじゃまあ、なんか話してくだせェよ」
「そうですね……あ、私には兄がいまして…」
聞くところその兄貴はだいぶ馬鹿ではあるが、優しくて強いらしい。聞いていてその兄貴には面白ェところしかない。コイツブラコンか。ま、俺も人のこと言えやしねェが。
「こんな感じ…ですかね。そういえば貴方には兄弟はいらっしゃるんですか?」
「姉が一人いやす」
「いいなぁ、お姉さんですかー。私にもお姉さんみたいな人はいましたがその人、ずっと一緒にいるわけじゃなかったですし。やっぱり羨ましいです、お姉さん」
滅茶苦茶姉がいることを褒めちぎるコイツ。今のコイツの話も聞いてもどんな環境で生まれ育ったのかは想像できない。
「……あとは、そうですね」
この後はコイツの兄貴二号、三号プラス一匹について心底楽しそうに話していた。あれ、兄貴一人じゃなかったか。まぁいいか。もうコイツの育った環境を想像することは不可能であると理解した。
夜になり、襖を閉めて部屋を出ていく時、アイツは
「またお話しましょうね!」
そう、弾けるような笑顔で言った。どうやら俺は柄にもなく一目惚れ的なことをしてしまったらしい。布団に入ってもあの時のアイツの満面の笑みが忘れられない。よし、明日土方コノヤローを絞めてやろう。(←八つ当たり)
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作者名:花遥 | 作成日時:2019年10月3日 22時