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「やほ」
「…………」
できた痣も薄くなってきた頃、本格的に部活に参加するために部室へ向かう途中、あいつが声をかけてきた。あの日からしばらくは熱が引かず、数日学校を休んでいた。両親は医者に行くよう促してきたが、痣を見られることも、それができた経緯を説明することも面倒だったため、断った。
「元気になったみたいで何より!」
何事もなかったかのように話しかけてくる脳天気さに、呆れを通り越して尊敬の念さえ抱きそうだ。そんな俺の心情を知ってか知らずか、以前のように後をついてくる。
「……」
「ねえ花宮、つきあってよ」
「は?」
今から部活だ、と伝えると一瞬きょとんとした後、ゲラゲラと笑いはじめる。
「なになに、花宮実は天然だったの!?そんなことある!?」
その反応から、こいつの言う"つきあってよ"の意味を理解した。脈絡がなさすぎて、そしてこいつがそんな思考を持ち合わせているなんて予想もしていなかったのだ。
あまりにも笑うため、思わず頭を掴んだ。
「うるせえ」
そう言いながらこいつの顔を見ると、にやにや顔から笑顔になる。いつもの花宮だ、と。掴んだまま頭をぐりぐり回す。
「わはーーー、頭の中もんじゃ焼きーーーー」
そう言って騒いでいると、背後から聞き慣れた声がする。
「お!復活そうそうやってんねえ」
原だ。ぷう、と膨らませたガムでは隠しきれないほどにやついている。このにやけ顔も、久しぶりに見ると邪険にする気は起きなかった。原と合流し、体育館までは当たり障りのない話をしながら歩を進めた。
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sugar(プロフ) - フラグ関係とかありましたが、がんばってください (2015年9月6日 18時) (レス) id: e1c2c48866 (このIDを非表示/違反報告)
sugar(プロフ) - 健全だなぁ。 (2015年9月5日 20時) (レス) id: 1f5a39de0d (このIDを非表示/違反報告)
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