【東京喰種】理解者 β

β-understand16 ページ16

部屋が以前の形を想像できないほど壊れてしまい、別の部屋に移動する予定だった。

それが、この前の戦闘で建物は半壊、人数は逆に増えたという。組織化することで喰種の生存率が上がったことがその理由だ。



組織化の利点は食料確保と生命の安全に他ならない。それゆえ殺しては食べを繰り返してきた奴らが集まった。



最もタタラさんを含む上の奴らの実力に圧倒されたか惚れ込んだか、これも理由の一つだとは思うが。









俺達の組織の喰種に女は少ない。が、喰種とはいえ人並みに欲はある。当然Aに危害が及ぶ可能性も無きにしもあらずだ。

とは言ってもAの実力は各段に上がっているためそうそう負けはしないだろうが。





Aが血を洗い流している間、移動先を考えた所、その後Aにも聞き、都市部とは少し離れた落ち着いた所に住むことにした。

廃墟は腐るほどある。


「この辺はまだ綺麗」
「そうだな」




壁に草のつたう廃墟の割れた窓から外を眺めるAの表情は心なしか明るかった。









「空気もまだまし」
「空気ねえ…」

　



すんすんと匂いを嗅ぐAだったが、多少ましにはなれど人間臭さが残る。




「緑もあるし…でもアヤトくん
　皆と離れてていいのかな」
「問題ない、しばらく休んでろ」






そう言うと珍しく俺の隣に座り、





「ちょっと寒いからここで寝る」
　





と言って俺の肩に頭を乗せた。

β-understand17→←β-understand15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す