【あんスタ短編集】夕焼けの偶像【Valkyrie】 (ページ13)

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追憶の恋情　斎宮宗ページ13

「お師さん頑張ってなぁ、しばらく会えないの寂しいわぁ…」
「身体に気を付けて、無理しないでくださいね！」
「全く…心配しすぎなのだよ、君たちのほうこそしっかりしたまえよ。」

こうして僕が夢ノ咲学院を卒業し、留学した先のパリに拠点を移して数年、仕事をしていたある日、一通の手紙が日本から届いた。中身は影片と僕たちのプロデューサー、Aからの結婚式の招待状だった。
彼らが付き合っていたことは知っていたし、影片からも報告は受けていたけれど。それに僕もときどき日本に帰っていたし、二人に全く会わなかったわけでもなかったが、いざ招待状が来ると驚きを隠せなかった。招待状と一緒に添えられていたのは二人で幸せそうに寄り添って写真で。

僕は彼女を、Aを愛していた。最初はひよっこのプロデューサー科所属ごときが僕をプロデュースするなんて甚だ不愉快と思っていた。だけど時間が経つにつれて、彼女と過ごす時間が増えるにつれて、僕はAを愛するようになっていった。心から愛していた。だけど、彼女と付き合うと影片から伝えられた時に、彼らの幸せを願い、この気持ちに別れを告げたはずだった。…僕は胸が苦しくなるのを感じた。なぜ？彼女への恋情はとっくに忘れていたつもりだった、もう思い出すこともなくなったはずだったのに。

「マドモアゼル」僕は窓辺に座るマドモアゼルに問いかけた。

「僕はどうしたら正しいかったのだろう。今の選択は正しいと思うかい？」

「……」マドモアゼルは何も答えてくれない。僕にあきれているのだろうか。そんなことを考えながらぼんやりと窓から景色を眺めた。

ふと、招待状の出欠の欄にまだ記入していないことを思い出し筆を執る。出席に筆跡を残し、封を閉じる。

「あんず、君は知らないだろうけれど」僕は心から君を愛していたよ。

僕は一人で呟いた。誰も聞いてはしないのに。君はここにはいないのに。