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拾陸 ページ18

私は肩を竦めながら万次郎の方を見る。

「エマは?会いたいんだけど」

「あっちにいる。行ってこいよ」

万次郎に言われて、エマのところに走っていく。私に気付いていないエマに後ろから抱き着くと、エマは驚いたようにこちらを見た。

「え、A!?なんで…集会にはもう来ないって」

「かわいい男の子に誘われちゃったから」

そう言うとエマは訳が分からないというように首を傾げた。

「まぁ、いいじゃんいいじゃん」

「もう!!心配してたんだから〜!」

しばらくエマと話していると、隅のほうで何やらもめているのが目に入った。

「あれって…」

目を凝らしてみてみると、それはタケミっちだった。そばには女の子もいる。

「ん?どしたの?」

エマが私の顔をのぞきこんでくる。

「ああ、なんでもない」

私が気にすることでもないかなと思い、私はタケミっちから目を逸らす。

「そういえば、最近ドラケンとどうなの?なんか進展あった?」

そう聞くとエマはバツが悪そうな顔になった。

「…それがさ」

エマが何かを言いかけた時だった。

「オイ!エマ!!」

「ハーイ」

エマは気だるげに返事をして、エマを呼んだドラケンのところまで歩いていく。

私はエマの後ろをついていく。

「このコ、タケミっちの彼女(ヨメ)だから、しっかり守っとけ」

「りょ〜か〜い」

そう返事をしたエマは、タケミっちのほうを見ると「あ」と声を漏らした。

「よっ。いくじなし君♡」

いくじなし君?

「誰の事?"いくじなし君"って?」

タケミっちの彼女が額に青筋を浮かべながらそう言う。

「オマエ…エマと知り合いなの?」

私もタケミっちの方を見る。

「"いくじなし君♡"ってどーゆー事ですかぁ?」

タケミっちの彼女がそう言うと、タケミっちは焦ったように「ち…違うんだヒナ!!」とビクビクしている。

「エマの下着姿見たくせに逃げた――――――いくじなし」

修羅場だ…

「へー−そんなことがあったんですね――――」

「あったのかな―――?ん――――?本当に記憶がないんだよぉ」

するとどこから出したのか、彼女さんはバットを片手に持っている。

「アレ!?そんな得物(モノ)どこから!?ヒナさん!?」

数分後、タケミっちはぼこぼこになっていた。

「すびばせんでした。もう二度とこんな事はいたしません」

「知らない!」

「「怖ー」」

私とエマはそうハモリながらタケミっちの彼女の背中を見る。

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作者名:まゆげない | 作成日時:2022年4月26日 1時

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