おまけ ページ35
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俺はAを離し照れて頬の赤く染まる、そんな可愛らしいAの顔を見つめた。
Aは数秒俺を上目に見つめていたが顔を上げては目を閉じるその姿に胸がドキッとした。
それと同時に今あるこの幸せに自然と口角が上がってしまってそれ所じゃ無いが、そんな愛おしいAの姿に覚悟を決めてそっと口付けをした。
口を離すとそっとAの目が開いて「ふふ」と幸せそうに笑うその笑顔に俺も笑い返す。
アシュラ「愛してる、A」
貴女「私も愛してるよ」
Aは再び俺の胸に蹲った。
あぁ…何て幸せな夢なんだろう……
俺は目を開く、そこにはもうAの姿は無く俺は体を起こし窓の外を眺めた。
青空の下、春風に揺れる桜の木々が窓の外に見えて「あぁまたこの季節か」と胸が締め付けられた。
忘れもしない…Aとの日々、Aとの夢…
溢れる涙を袖で拭い、ふと布団に目を向けるとそこには桜の花びらが一枚そこに落ちていた。
そこは夢の中でAが寝ていた…俺はその桜の花びらを拾う。
数秒その花びらを見つめてはそっと口付けをした。
俺は立ち上がり桜の花びらを本の間に挟むと窓から暖かな春風が吹いて俺を包む、ふと桜の木を見てはそこにAが「ありがとう」と手を振るあの姿を思い出す。
俺は唇を噛み締めて号泣する…
今でも思うんだ、これは夢なんじゃないかって…
何かが違えば夢も現実になっていたんじゃないかって思ってしまうんだ…
だけど、Aは優し過ぎるからきっとこんな俺を見て悲しんでしまうんだろうな…
俺は深く深呼吸をして涙を止めると桜の木を見ては微笑みかけた。
例え何があっても俺の中にいるAには笑っていて欲しかったから…
また来年も、再来年も、この先もずっと桜の木を見て微笑んで見せるから…
どうか俺の知らない何処かで暮らすAも、俺の思うままの笑顔で幸せに生きていて欲しい。
そして、どうか兄さんと末永くお幸せに…
俺は本に挟んでいた桜の花びらを再び手に持つと手のひらに乗せて窓の外に向かって息を吹きかけた。
花びらが風に乗って空高く舞う…
春風に舞う花吹雪、薄桃色に染まる空、そんな淡く儚い恋だった…
終わり←おまけ
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作者名:わん | 作成日時:2022年9月29日 18時