18.一枚の写真 ページ20
轟に案内され、着いて行き漸く目的地である轟の部屋へ辿り着いた。
一軒家にしては些か広いな。
俺の実家も中々だが、ここも凄い。
流石No.2ヒーローだ。相当儲けているのだろうな。
「先に入っててくれ。俺は飲み物とか取って来る」
「ああ、わかった」
「…好きにしててくれ」
轟は俺を見て、何かを確かめる様にしてからその場から出て行った。
よくわからないまま、俺は轟の部屋にお邪魔した。
入ると、そこは見事な和室。
懐かしい畳の香りに物置であろう襖。ちゃぶ台に用意された二つの座布団。低めのテーブルに、木で出来た本棚。掛け軸までもが飾られており、轟が和人間だと思い知らされた。
家具が少なく殺風景に見えるかもしれないが、落ち着きがあっていいな。
俺の所は無駄に物が多いからな…。今度帰ったら掃除するか。
なんて思いながら座布団に座り、轟を待つ事にしたが、ふと本棚からはみ出た紙切れが目に入った。
見たくなり、それを取り出して確かめる。
「これは…」
それは微笑んでいる白い髪の女性と、そんな彼女に抱えられながら笑っている紅白の髪の子どもの写真だった。
「…もしかして、轟と…轟の母親か？」
いい写真だ…。昔はよく笑ってたんだな。
それに比べて今は全く笑みを見せていないが…何かあったのか？
他にも何かないか探すが、結局その一枚しか見つからなかった。
何故この写真しかないのかも気になった。
そして、もう一つ気付いた事がある。今はあって、昔はなかったもの。
「火傷が…ない」
轟の左の目元を覆う様にある痛々しい火傷の跡。
だが、その写真には火傷の跡など何も存在してなかった。
まるで、
ぺらりと裏を見ると、そこには少し歪んだ字で病院名と病室番号が記されていた。
…轟の母親は、入院しているのか？
一応覚えておくか。
それを覚えた俺は、何もなかったかのように写真を本棚にしまった。
轟本人も知られて欲しくなかった、見られたくなかったのかもしれないからだ。
「言いたくなれば、あいつから言ってくるだろう。…『待つ事も大切であり、やりがいのひとつ』だよな、A」
あいつの言った事は、全て俺の中に刻まれている。
俺を認め、救ったのはAだ。
だからいつか、轟にもそんな自分のヒーローが出来ればいいと思う。
そして、それが俺だったならば…同時に、共にまた何かを得られると思う。
座布団に座りながら、そう思った。
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橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！もし続くようでしたら、続きを楽しみに待ってます！(*´ω｀*) (2021年9月26日 5時) (
レス) @page31 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ぎゃんかわ…これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年1月7日 12時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - テクノさん» 癒されてあげられている様でとても嬉しいです^ ^ (2019年3月21日 0時) (レス) id: f3e12664ea (このIDを非表示/違反報告)
サヒア(プロフ) - 通りすがりさん» 教えて下さり、ありがとうございます！自分なりに訂正したのですが、まだおかしい点がある様でしたらまたご指摘お願いします！ (2019年3月21日 0時) (レス) id: f3e12664ea (このIDを非表示/違反報告)
テクノ(プロフ) - まんばちゃんと主ちゃんがかわいくて癒されます (2019年3月21日 0時) (レス) id: 5d0adffebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サヒア | 作成日時：2018年4月1日 21時
