２５ 孤独な空間で ページ28
無意識のうちに声が出ていた。
でも、言うことは一つ。これだけは言わなくては。
「ありがとう」
僅かな街灯に照らされた美貌は、驚きを表していた。
英智は何も言わず、再びにっこりと微笑むと手を振った。
(く…。イケメンかよ、あいつ)
実際、イケメンなのだけど。
そして、家に入ってからドッと疲れが押し寄せた。色々な事が起こりすぎた。
(…まさか、月永に気づかされるなんて)
いつも何を考えているのかわからない奴に手助けをしてもらったと考えると、ちょっと解せないが、それでも感謝すべきだ。
Aはその後、自分で夕食を作って一人で食べて、風呂に入って…いつも通り過ごした。
寝る前に、どうやって政略結婚を破棄しようか悩んでいた。
(ダメだ。全然寝れない…)
と、いつまでも起きていたら電話がかかってきた。
誰だこんな時間に…と渋々受話器を取ると、相手は父親だった。
なんでも、天祥院家の方から婚約を破棄すると話を持ちかけられたらしい。
それで、OKしたと。
(なんて勝手な父親なんだ…)
怒りを通り越して呆れる。
(…多分英智だな。英智が、話してくれたんだ)
そう思うと心があったかくなった。
(明日、瀬名にちゃんと謝って、それから…)
それから？
(…それから、何？)
謝って終わり？
いや、謝って、それでまた仲良くしよう…。それは何だか違うような…。
＿『もしかして、好きな奴いたりする？』
不意に、レオの声が頭をよぎった。
それに対して自分は何と答えた？
＿『…いるかもしれない』
その時、頭に浮かんでいたのは紛れもない、泉だった。
「そう、か。私、瀬名の事が＿」
呟いて、考えれば考えるほど顔が熱くなってきた。
「え、ちょ…えぇ…？」
一人で戸惑って、ジタバタ暴れまわった。興奮を落ち着かせようと必死だったが、どうにも心臓の音は鳴り止まない。
(とりあえず明日！明日ぐらいは素直になるから…！)
その夜、全く眠れなかったのは言うまでもない。
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水猫桜(プロフ) - ほたるさん» コメントありがとうございます！瀬名さんのツンデレ具合を上手く表現出来るよう頑張ったので、可愛いと言っていただけてとても嬉しいです！初のあんスタ作品ですが、楽しんでいただけたなら幸いです(*^^*) (2017年8月25日 17時) (
レス) id: 1dfbcfc948 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 瀬名さん！！！可愛すぎかよ！！！完結おめでとうございます！！！ (2017年8月25日 16時) (レス) id: 836cda0430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水猫桜 | 作成日時：2016年9月19日 13時
