才媛のヴァイオリニスト[Alan_S] (ページ32)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:49,093 hit

休暇ページ32

『あれ？亜嵐は？』

涼｢黒木先生に呼ばれたみたいだけど。｣

『なんの用事かな...』

涼｢気になる？(笑)｣

『べ、別にっ！』

涼｢大丈夫だよ、2人仲良くてさ。
何故かいつも事務室で暇つぶししてるんだ。｣

『ふーん...』

仲良いんだ...
私的には先生が冷酷で人に無関心な鬼みたいに見えたけど。

亜｢ただいま！｣

『暇つぶししてたの？』

亜｢まぁな。
...あのさ、俺今日からちょっと部活休むわ！｣

亜嵐は笑顔で、それでもって真面目な顔でそんなことを言った。

当然、急にこんなこと言われたってはい。そうですかなんてなるわけもなく...

龍｢どういうことや！｣

隼｢辞めるんじゃないよね？｣

玲｢説明しろよ、説明。｣

『先生と話してたのもそのこと...？』

亜｢うん、急にごめん。
でも俺ちょっとやりたいことあってさ！｣

裕｢やりたいこと？｣

亜｢そう。だから、部活はお休み！｣

嘘。

じゃあなんでそんな辛そうな顔するの？

本当はやりたいことなんてないくせに。

あんなに顔をキラキラさせてヴァイオリン弾いていた亜嵐が半端な気持ちでやっていたわけではないなんて、みんな分かっていた。

それでも、なんで何も言ってくれないのかという怒りが抑えきれなかった。

涼｢ふざけんなよ...｣

龍｢お前はそんな軽い気持ちでやったんちゃうやろ！？｣

隼｢やりたいことって、オケ部休んでまでやることなの？｣

玲｢なんなんだよ、やりたいことって。｣

亜｢...｣

『...答えてよ.......亜嵐!』

7人しかいない部屋で私の声が木霊する。

でもその声も虚しく宙に散り、亜嵐の小さな声が微かに響いた。

亜｢...ごめん.......ごめんな。｣