才媛のヴァイオリニスト[Alan_S] (ページ31)

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優しさページ31

亜嵐side

黒木先生に呼び出されて、放課後事務室にやって来た。

一応俺は男オケ1年のリーダーだし？

亜｢失礼します。｣

啓｢おー、来た来た。｣

亜｢もしかして、俺もヴァイオリンのオーディションに参加させてもらえるって話っすか？｣

啓｢なわけないだろ、お前のあの演奏をオーケストラに加えられるわけない。｣

亜｢ですよねー...で？なんの要件ですか？｣

啓｢ん？あぁ...｣

亜｢Aのことじゃないですか？｣

啓｢...なんでもお見通しってわけか。｣

亜｢なんであんなこと言ったんですか？｣

啓｢あんなこと？｣

亜｢鑑賞会程度の演奏じゃコンマスにはなれないなんて、本当は嘘でしょ？｣

啓｢それは違うぞ。｣

亜｢え？｣

啓｢正直言って、あいつはオーケストラには向いていない。あれじゃ独奏だ。
暴走してる今のままだと如月の方が上かもな。｣

亜｢そんな...｣

Aの演奏を聴いた時、今までにないほどの迫力を感じて身が震えた。

それはオーケストラ部に入っても同じだと思っていた。

でも、それが集団に加わるとただの暴走になるなんて考えてもみなかった。

亜｢...で、その話をなんで俺に？｣

啓｢お前仲良いだろ？｣

亜｢え、そうですかぁ？｣

仲が良いと言われ、少し得意げになる。

啓｢お前なら、中和させられるいい存在になれるんじゃないかと思ってな。｣

亜｢中和？｣

啓｢いや、何でもない。｣

亜｢まったく、素直に言えばいいのに。
でも、そういう影の優しさ俺は大好きです。｣

啓｢男になんか好かれたくねーよ、早く戻れ。｣

亜｢はーい。｣

啓｢あ、言い忘れてた。｣

亜｢もう...まだ何か＿＿｣

啓｢もうお前、演奏やめろ。｣

亜｢.....え？｣