その笑顔……?12 ‹ 鶴蝶 › ページ12
.
「鶴蝶、俺に何か言うこと……あるよな?」
「……は?」
蹴り開けられた扉がバキッと嫌な音を立てる。
何事かと目を向ければ、目が合うと同時に先程のセリフを投げ掛けられた。
仕事の報告は全て終わっているし、裏切り者への粛清も済んでいる。
梵天のトップであるマイキーに伝え忘れている事など思い当たらないが……。
「修羅場じゃん」
「今のマイキーのセリフ、浮気の証拠を掴んだオンナっぽくてヤバくね?」
おい、灰谷兄弟。丸聞こえだからな。三途も笑ってんじゃねぇよ。九井も、肩震えてるのわかってるからな。
思い当たる節がなく、必死に記憶を辿る。
「コレでわかるか?」
「ッ、それは……!」
「預かってきた」
そんな俺の態度をどう捉えたのか、ズイッと差し出されたのはよく見知った風呂敷包みで。
部下に届けるように頼んでいたAの手作り弁当がマイキーから差し出されている事実に、僅かに動揺してしまう。
「見ろよ鶴蝶の反応」
「浮気の決定的な証拠を突き付けられて、なんて言い逃れしようかって焦ってるオトコみてぇじゃん」
だから、灰谷兄弟!聞こえてんだよ!!
三途はもう隠す気もなくゲラゲラ笑い転げ、九井なんか机に突っ伏して体を震わせている。
勘弁してくれ、と頭を抱えた俺は悪くないはず。
というか、そもそも弁当を作ってもらってる事は報告する必要があるのか?というか、報告された方も困るだろ。
しかも相手はマイキー。仮に報告した所で気まずい雰囲気になって終わりだろ。
「鶴蝶」
「……なんだ?」
ツラ貸せよ、とでも言いたげに名前を呼ばれ戸惑いながらもマイキーの元へと近寄る。
「Aと会ったことがあるのは誰だ」
「……俺と望月だけだと思う」
「蘭は?」
「……メモを一方的に押し付けてるだけで面識はないな」
「ふーん」
イマイチ話の流れが掴めず、なんで灰谷兄?という率直な疑問から自然と目が灰谷達の方へと向く。
……完全に傍観者の立ち位置でニヤニヤとコチラを見るヤツらに溜め息が出る。
話の続きはあるのかと視線を戻すと、ぷるぷると震えながら口をキュッと結んだマイキーの姿。
何事??
「蘭、だけど……ふっ、んんッ、オンナだと思われてた」
「は?」
「蘭ちゃんっていう女の人知ってるかってAに聞かれた」
「……んッ、ふ……いや、ククッ、」
ザマァミロ、と蘭の方を見れば不思議そうな表情をしていて更に笑ってしまった。
.
2187人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃(プロフ) - 初めまして。とても楽しく読ませていただきました。できれば続編希望します。 (5月18日 22時) (レス) id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 終わったんか🥺 (2023年3月20日 22時) (レス) @page42 id: eb117a410a (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - にじさーん!!オプチャのサツキです。大分前にコメしたことがあるんですが・・ホントに更新楽しみにしてます!お時間ある時でいいのでいつまでも待ってます! (2023年2月18日 22時) (レス) @page42 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - ほんっとに面白くて最高の作品に出会いました!!続き楽しみです!! (2023年2月16日 23時) (レス) @page42 id: a500e3a75b (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高です大好きです文才が天才すぎます、、良ければお時間ある時に更新お願いします、、完結までついていかせてください、、 (2023年2月11日 17時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にじ | 作成日時:2022年7月28日 0時