その笑顔……11 ページ11
.
二人分の食器を流し場に置いて、鶴蝶さんのお弁当作りに取り掛かる。少しだけ余ってしまったほうれん草の胡麻和えとプチトマトを二つ。
そういえばひき肉がちょっとだけ冷蔵庫に入っていたかも、と中を覗けば丁度一人分より少し多いくらい残っていた。
それなら、ミニハンバーグでも作ろうかと思い至って必要な調味料を揃える。
ついでにウインナーも用意して、たこさんウィンナーにしてしまおう。
最後に、いつも常備しているブロッコリーを入れれば完成。白米には、ゴマ塩をふりかけて、真ん中に梅干しを一つ。
『ん、完成!』
「……鶴蝶の弁当?」
『はい、色々あって作らせてもらってます!』
「ふーん」
お察しの方もいるとは思いますが、この万次郎くん。
私がお弁当を作っている間もずっと私の後ろをついて回って、料理の工程を見ていた訳ですけれども。
もう、ホントに可愛すぎる……雛鳥を連れ歩く親鳥にでもなった気分……え、尊い……。
もちろん、作る側の特権である味見に関しては万次郎くんにお任せしましたとも。えぇ、えぇ、それはそれは美味しそうに食べてくれました。
『確か今日は鶴蝶さんの部下の方が取りに来てくれるって言ってたよね』
「……俺が持ってく」
『へ?』
「弁当、俺が鶴蝶に持ってく」
えっと、持って行ってもらえるのは嬉しいけれど鶴蝶さんって確か梵天の幹部さんだったよね。万次郎くん、持って行けるのかな?
一抹の不安を覚えつつ、でも断るのも失礼かな、と心の中で審議した結果。
『お願いしても良いですか?』
「ん、いいよ」
『それなら、お願いします』
「……ちゃんと持って行けたら俺にも弁当作って」
『ん"ッッ』
ドッキュン撃ち抜かれました!!
もはや貫通したかもしれない……私の心臓止まってない?だいじょぶそ?
万次郎くんを撫でようとする右手をしっかりと左手で押さえながら唇を噛みしめる。
コレが、母性……?
「……だめ?」
『だ、だめ、ダメじゃないです!鶴蝶さんにしっかり届けられたら万次郎くんのお弁当も作りますね!』
「うん」
露木A、陥落です。万次郎くんに全面降伏しようと思います。可愛いは罪……。
粗熱を逃がすために放置されている鶴蝶さんのお弁当を楽しげに眺める万次郎くん。次からは万次郎くんの分も作るからね……。
『あ、そういえば』
「?」
『万次郎くんは、蘭ちゃんという女性の方を知ってますか?』
「……ッんん、知ってる、ケド?」
.
2191人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃(プロフ) - 初めまして。とても楽しく読ませていただきました。できれば続編希望します。 (5月18日 22時) (レス) id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 終わったんか🥺 (2023年3月20日 22時) (レス) @page42 id: eb117a410a (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - にじさーん!!オプチャのサツキです。大分前にコメしたことがあるんですが・・ホントに更新楽しみにしてます!お時間ある時でいいのでいつまでも待ってます! (2023年2月18日 22時) (レス) @page42 id: 075aa05b66 (このIDを非表示/違反報告)
ノア - ほんっとに面白くて最高の作品に出会いました!!続き楽しみです!! (2023年2月16日 23時) (レス) @page42 id: a500e3a75b (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 最高です大好きです文才が天才すぎます、、良ければお時間ある時に更新お願いします、、完結までついていかせてください、、 (2023年2月11日 17時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にじ | 作成日時:2022年7月28日 0時