２５ その人は宿命 ページ25
「あれから何もないのですか？」
「何がだ？」
「神の報復とか、神の制裁とか、神の悪戯とか、神の嫌がらせとか、神の暇潰しとか………」
「ないな。
何かよくわからん思想に嵌り込んでいるのであろう。
無意味に考えたがるからな」
特別番組の収録の楽屋。
まだ来ないメンバーを待ちながら交わされる会話。
「このまま忘れ去りますかね？」
「かもしれん」
「おっはよーー」
元気な声と共に扉が開き雅紀が入って来た。
「はよーす」
「はよ」
続いて和也と潤も入って来た。
「何、皆一緒なの？」
「俺と潤くんは経由で一緒に来たけど相葉さんは駐車場で会っただけ」
「だけって……酷くない？」
「何がどう酷いの？
事実をそのまんま言っただけだけど？」
「言い方が冷たい〜！
出会ったんだよ……とか優しく言ってよ」
「何処の少女漫画だよ」
何時もの賑やかだが穏やかな時間。
「今日、ロケだっけ？」
「うん、これから着替えて移動だよ」
潤が翔に予定を確認する。
そんな日常を智はそっと見詰める。
着替えを済ませ移動車に向かう途中……………
１人の見目好き男が智の横で歩みを止める。
それに習って智も足を止めた。
その男は智に声を掛けた。
「良き旅を……」
「何故……ここにいる」
「我は我の行くべき場所に赴くのみ」
「俺に用か？
それとも他の誰かか？」
「さて…そこまでは我の存在意義ではあるが、我が関与する物でもない」
「胸に止めておこう、我が身内よ」
そして静かに離れた。
互いに振り向く事なく。
「智くん、彼は？
見覚えがあるような気はするけど……」
「見えたのか……翔。
あれは俺の身内だ。
宿命の王……気を付けておけ。
何かを運んで来たのだろう。
その何かは俺すらわからん」
「わかりました」
こそっと話していると……
「ねぇねぇ、大ちゃん。
今のイケメン知り合い？
何か話してたけど、誰？
あんなにイケメンだけど見覚えないよね」
「大野さんにあんなイケメンの知り合いがいるなんて知らなかったけど」
「ホント。
でもイケメンって言うか綺麗な人だよね」
「…………」
見た事のない見目好き男の話で盛り上がる皆を智は溜息を吐きながら見ていた。
「ほら、行くよ。
智くんにだって超絶イケメンの知り合いくらいいるでしょ？」
そう翔がフォローし皆を急かした。
「ほら、智くんも行くよ」
「ああ……」
宿命……生まれる前から決まっている運命。
それが確かに通り過ぎた。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
