２６ 奴の名は……狂気 ページ26
移動車に乗り込むと話をする者、ゲームをする者、考え事をする者とそれぞれしたい事をして目的地に向かう。
……何故、今通り過ぎた？
……何故、俺に声を掛けた？
……奴の力は俺には無関係。
……何より奴の姿が４人に見えた。
……翔ならまだしも、後の３人にもだ。
……何が来る？
……何がある？
…………………宿命よ。
智は遠くて近い近くて遠い身内の出現を考えていた。
目を閉じ恰も眠っているかのように。
そうすれば誰も邪魔はしない事を知っているから。
「大野さん、着いたから起きてよ」
「ん、…ありがと」
今まで熟睡していたかのように大きく体を伸ばす。
そして車を下りた瞬間………視線を感じた。
それを辿り目に写ったのは………
だが今はそれの相手をしている場合ではなく、暫し捨て置く事にして仲間の後を追う。
個々の撮影の合間に、じっと自分を見詰め続ける視線の主の元に向かう。
「何の用だ？
貴様が彼等に近付く事は許さぬぞ。
次は許しはないと思え……」
「冷たいな、我が兄にして弟……否、愛しき者よ」
そこにいた視線の主はフードを深く被り顔の半分を隠していた。
見える反面は先程の男と同等……それ以上の美麗さを備えていた。
その男は智の手を取り、その手の甲に口付けた。
「戯言、世迷言などいらぬ。
直ちに消えよ、余の前から……」
「……安心されよ。
ここに呼ばれた訳ではない。
唯……我がここより先に呼ばれた場所は………天。
それ故に、愛しき其方に忠告をしに来たまで」
「神が貴様を呼んだと？」
「何度か呼ばれた事はある。
神の狂気は強烈だからな。
否が応でも呼び出され引き摺られてしまうのだよ」
「狂気なのか？」
「狂気に取り憑かれている自覚はないがな。
元より我を呼ぶ程の狂気を宿した者は自分が狂っておるとは思ってもいない」
「……だな。
神もまた貴様には逆らえないのか？」
「間違えるな、愛しき者よ。
我が差し出すのではない。
その者の狂気が我を呼ぶのだ。
我は神の狂気に呼ばれたにしか過ぎん」
「狂気に呼ばれた貴様と奴もまた余に声を掛けた。
その狂気は宿命か……
ならば受けて立つまで……誰１人傷付けさせはせん」
黒金剛石の如き輝きと鋭さで身内なる者を冷たく睨み付ける。
「姿を変えても変わらない……美しく愛しき者よ。
戯れに人間と共に生きるにあたって新たな快楽を覚えたと聞く。
我も試させて欲しいものだが……」
「貴様だけは断固断る」
冷たく言い放った。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
