section1『天体観測』 ページ2
貴「はぁ…久しぶりの休暇だ…」
かれこれ一か月ぐらい働き詰め。
やっともらえた休暇だ。
朝早くから夜遅くまで働くことがずっとだった。
貴「どこか出かけたいけど出かける気しないな…」
百「A−?いるか?」
コンコン、とノック音がする。
貴「居るぞ。空いてるから入って。」
百「入るぞー。」
ドアを開け、解斗が何かを抱え入ってきた。
貴「何抱えてるんだ?」
百「家庭用プラネタリウム。」
貴「ぷらねたりうむ?」
聞きなれたことのない単語だった。
百「ま、簡単に言えば部屋の中で天体観測ができるんだ。」
貴「昼夜関係なく?」
百「あぁ!」
貴「なるほど、楽しそうだな。」
百「うーし!準備すっから、カーテン閉めてくれ!」
貴「あぁ。」
そういわれ、カーテンを全て締め切り部屋を暗くする。
百「よっし!行くぜ!」
解斗はそう言い、電源を付ける。
すると、
部屋一面に星で埋め尽くされた夜空が写しだされた。
貴「…綺麗」
それは、言葉を失うほど美しく輝いていた。
百「A、あの星みてみろ。」
解斗が指さしたのは、橙色の星だった。
百「あれ、ベテルギウスっつー星で、直線的に青い星があるだろ?光の速さで約200〜2000光年掛かるんだ。ベテルギウスの周りの星を結ぶとオリオン座になんだよ。」
貴「オリオンって事は、ギリシア神話か。」
百「あぁ。それとあの二つ出てる星がおうし座の角の部分だ。」
貴「確か、ゼウスがどうのこうのじゃなかったか?」
百「そうだな。確かゼウスが恋した相手に近づく為に牡牛に化けたらしい。」
ギリシア神話は、人間らしさが溢れ出していて好きだ。
貴「化けてさえ近づきたいぐらい愛してたんだろうね。全知全能の神は。」
ぽろっと思うことを言っていた。
貴「解斗は、ギリシア神話で例えるならアルテミスだな。」
月と狩猟をつかさどる神、アルテミス。
百「…じゃあAはメルポメネーだな。」
悲劇の女神、メルポメネー。
百「…お前が今まで悲劇の人生をたどってきたとしても、これから悲劇になるかもしれなくても、絶対に俺が悲劇から幸福に変えてやるよ。」
貴「〜!照れるでしょうが!この馬鹿!」
百「っははは!悪ぃ悪ぃ!」
頭をワシャワシャと撫で、
百「次は、絶対に本物の夜空で見るぞ!」
貴「あぁ。」
こうして一日中、プラネタリウムを見ていた。
※ギリシア神話でウーラニアーという天文を司る神がいますが、女神なので百田君は月に変換しました。オカマ的な事件になるので。
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作者名:月島飛影 | 作成日時:2017年3月30日 12時