兄貴のお気に入りに恋をした【灰谷竜胆】

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自分の家なのにソロソロと入る。
女の靴はまだ玄関にあり、耳をすませると
テレビの音だけが聞こえた。


(テレビつけっぱでヤッてるのか？)


兄弟であろうがそういうのを聞くのは勘弁願いたい。





気配のあるリビングを覗き見するとソファに座る兄が見える。

(女は？)

離れたところからは確認できず
ひとまず平静を装って兄に近づく。

いつもと違う態度を出せば勘のいい兄のことだ、
なんか隠してるってバレるだろう。




｢帰った｣


｢おーおかえり竜胆｣


｢…まだ女いるならメール飛ばしてくれよ｣


兄に近付けばビッチ女がテレビ前の机に伏せて寝ていた。
周りには空いた酒やつまみが並べられていて
どうも女は泥酔しており乱れのない服から
行為に至ってないと判断した。



｢いや、それがさ、、、あれ？炭酸は？｣

｢あ｣
｢珍しー、なに？なんか楽しいことでもしてきた？｣

｢はは、途中で変な奴らに絡まれてボコしといた｣

｢どこの島の奴？｣

｢六本木はじめて〜みたいな奴らでさ、
俺の名前だしても知らないっぽかった｣

｢ただのチンピラかー、乙ー
ほんならこれからコンビニ行こうぜー｣

｢っえ！｣

｢だって口が炭酸なんだよ｣

｢おお俺が買ってくるわ｣

｢いや、どうせならどれにすっか選びてぇし｣

｢おう、｣

酒飲んだあとに炭酸飲みたくなる心理が俺には分かんねぇ…
今外に出るとあの女のことバレちまう。

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