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髪を束ねる手がくすぐったい、
「なんか、すいません」
「兄貴のワガママに振り回されるのは慣れてる」
「竜胆さん器用ですね」

「…っおう、いつも兄貴の髪してるし」
「え、そうだったんですね!」

ちら、とあちらに目をやるとこの後のランチは何にしようかと盛り上がっている。

「蘭さんのオススメいきましょー!」
「ちょっと頭に響くからそのキャピキャピした感じの止めてくれね?」
「さすが兄弟ですねー!さっき弟さんにも同じこと言われましたぁ♡」
「…」

盛り上がってなかった。








竜胆side

(…竜胆さん)

さっきまで灰谷さんじゃなかったっけ、俺。
兄貴がいるからその呼び方も自然な流れなのか。


目の前の髪をすくう


…髪質っていろいろあるんだな。
兄貴の猫っ毛と比べてこいつのは芯が通ってるし、
それでも柔らかさもあるから触ってて気持ち良い。


Aの髪を束ねながら髪をかき分けると
細くて日焼け知らずなうなじがこちらに顔を出す。

その一点に目が釘付けになった。

「…ひゃっ、!」
「あ、ごめ、…当たった」

ビクっとするAの反応で我に帰る。


(…やべ、気づいたら、)


親指で無意識にそのうなじを下から上に撫で上げていた。


蘭「りんどー、Aちゃんからエ ロい声聞こえたぞー」
A「ちがっ…くすぐったくて」

自分でも思わぬ声が出たんであろうAの顔は恥ずかしさで一気に赤くなっていた。

「俺の指が当たった」とすかさずフォローに入る。

「あれはワザとだろ、それか無意識か?お前の顔が1番赤ぇよ」
「はぁ?!」

スタンドミラーをのぞくと自分でも知らない表情の俺がそこにいて咄嗟に拳を握った。

「それはやめとけ〜」
グッと俺の腕を掴み容易く牽制する兄。


「お前、最近鏡割るのブームなん?」
「…悪ぃ、」
「…ダジャレ?」
「だとしたら浅いな」
「浅いな」


そんな浅いダジャレを言い合う兄弟を他所に
まだ顔の赤いAは手で顔を仰いで熱を冷ましていた。


「あー、続きするわ」
「はい、こっちもすいません…!」

コテでくるくる巻いて、ハーフにして…
バランスを見ながら後れ毛をつまみ出す。

「あの、このヘアゴム使って下さい」
「お、持ってたんだ」
「自分で!買ったのです!」
「お、おう?」




その反応にも驚いたけど、それより

そのうなじにある傷は何だ

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NA - 面白かったです!!!! (2022年12月18日 21時) (レス) @page47 id: 9c547ad202 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トム | 作成日時:2022年6月19日 22時

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