34 ページ34
「ほんとはあっち、連れて行きたいとこだけど」
そう言って指差すのはジュエリーショップ。
ブランドものや本物のダイヤがキラキラと並んでいる。
「無理!!」
「うん、だろうからこっちにした」
心底ホッとする、
あっちの店と比べるせいかまだ桁の違うこっちのがマシに思えてきた。(いや、さすがに自分で払う、今度こそ)
そう意気込んでいると
「Aちゃんは…、
穴空いてないからこっち」
そう言いながらいつもおろしている私の髪を器用にすくって
耳たぶに指を這わせてくる。
「ッ…!!」咄嗟のことに体を強ばらせると
「ん?感じた?」
と意地悪な笑顔で顔を近づけてくる。
「びびびビックリしました!」
「うん、素直でよろしい」
油断してたらすぐに相手のペースにハマっちゃう、
というかすでに掌で転がされてる気がする。
自分の姿がその証拠だ。
「このイヤリングと、あとこのヘアゴムな」
長く揺れるようなものでなく控えめに光るイヤリング、
ヘアゴムにも簡単な細工がされている。
「んでー、…あ、」
レジに向かう蘭の手からそれ等を奪い、
「これは!自分で買いますのでっ」
そこからものすごい勢いでレジに向かう私を後ろから緩く歩いてきた彼に「俊敏な猫だな」と顎を頭に乗せられる。
「お…重…っ」
「ちょーど良い位置にいるお前が悪い」
「店員さんの前でやめて!」
一通り買い終えると蘭さんは「合流しよっか」と、携帯を取り出し
竜胆さんへ電話する。
買った服をそのまま着て帰るのも見られるのもなんか恥ずかしいなぁ…
が、待ち合わせはレストラン街ではなくなぜか電化コーナー。
竜胆さんたちも「なんで?」みたいな空気になっている。
「竜胆〜仕上げ、巻いて結って」
「…はぁ、」
合流した2人もビックリして
「なんか服代わってるー!見慣れない新鮮っ」とテンション高めのユメ先輩と、「…えらい奮発したな」と私じゃなく蘭さんにばかり声をかける竜胆さん。
コテのコーナーに移動したかと思えば
コンセントに繋いである適当なやつで私の髪を巻いていく。
「…」
「…」
お互い何故か無言
やっぱ絵面がひどいと思うんだよね、
椅子のない通路で髪を巻いてるのってなんか図々しい。
でも何でか蘭さんに逆らえない雰囲気出ちゃってるし。
早く終わって下さい。
「…髪、ハーフアップにするぞ」
177人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
NA - 面白かったです!!!! (2022年12月18日 21時) (レス) @page47 id: 9c547ad202 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:トム | 作成日時:2022年6月19日 22時