第三百五十夜 問い掛け ページ35
〜サーリエside〜
「…―――誰だ、お前」
「………ッ!?」
俺がそう言うと、レイラは目を丸くした。
「な、何を言ってるの?私は…」
「レイラがこんなことする筈ない。確かにレイラは、"敵"に対しては冷酷な奴かもしれない。酷い奴かもしれない。
でもそれは敵に対しての話だ。
……仲間相手ならとっても優しい奴なんだ。
俺は……俺"達"は知っている」
俺の脳裏に浮かぶのは、楽しそうなレイラの姿。
俺と黄香と一緒に悪ふざけして、笑いあって…
怒ると怖かったが、その後許してくれるし…
組織の長だということを除けば、ただの何処にでもいる恋する女性だった。
「何を言っているの?そんなの嘘に…――」
「…嘘なんかじゃねぇ。もし嘘だったら、あんなに楽しそうに話さねぇ。何十年も黄香と一緒にいたり、俺に構ったりはしない。
……嘘だとしても、俺が許さない」
拳を握り、レイラ…いや、"ソイツ"に俺は言った。
「俺達のことが嫌いか」、なんて直接レイラに聞いたわけじゃない。
かなり自分勝手な言葉だと俺自身も理解している。
……でも、"そう"だと信じたいんだ。
「もう一度聞く。……誰だ、お前」
目の前のソイツの目を真っ直ぐと見て俺は言った。
ソイツは、今度はキョトンとした顔をしたが、ゆっくりと口の端を持ち上げ、綺麗な弧を描かせた。
「……嫌だサーリエったら。まだそんなことを言うの?
……――――まあ、そんな事を言ったところで、貴方はもう、信じないでしょうけ……
どッ!!」
「――――ッ!?」
剣を構え直し、ソイツは突然襲いかかってきた。
俺は黄香を米俵抱きし、なんとか避ける。
そして、ソイツが置いたであろう絨毯を片手で拾い上げ、その上に黄香を乗せてそれを飛び上がらせた。
俺は上空まで浮かび上がったのを見てその絨毯と反対方向に全力疾走した。
……何も言わなくても分かる。
あの雰囲気…完全に俺を殺しにかかっていた。
「あら、鬼ごっこでもするのかしら?」
「来れるもんなら来てみろよ!この鈍足!」
「……へえ、中々言ってくれるじゃない」
ソイツに挑発し、俺は再び走り出した。
少しでも、村と黄香との距離が取れるように。
少しでも、"時間稼ぎ"ができるように。
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厨二乙(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!明日までには続編をつくる予定です (2016年8月10日 15時) (レス) id: 7e18410e1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きがきになります(*´∀`)ワクワク更新頑張ってください(*´ω`*) (2016年8月10日 15時) (レス) id: 4f1d10fb33 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 厨二乙さん» 良かった!楽しみにしてます!(((o( ˙-˙ *))o)))! (2016年8月5日 20時) (レス) id: a582850307 (このIDを非表示/違反報告)
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