第三百四十五夜 手紙と贈り物 ページ30
〜黄香side〜
…頭がぼーっとしている。
復讐が果たされてしまった今、私は何を当てにして生きていけばいいのだろうか。
……でも、なんだか凄く心の奥底にあった重りが取れたみたいだ。
肩が軽く、世界が広く感じる。
「…あ、そういえば翠玉さん。亡くなった領主の子供って今どこにいるか知りませんか?」
そうだ。
私が聞きたかったのはこれなんだ。
私がそう言うと、翠玉さんは曖昧な笑みを浮かべた。
その顔に、私の背中からじわり、と冷や汗が滲み出てきた。
「あの、まさか領主と一緒に…なんて……」
「大丈夫。子供たちは生きているよ。あの後元黄桃村民の革命があってね…父も母もいない子供たちは逃げるようにしてこの地を去ったよ。
………あ、そうそう。黄香様に渡さなくてはいけないものが……」
翠玉さんは何か思い出したのか袖を探り始めた。
そして、一枚の綺麗に折りたたまれた紙を出すと、私の方へ差し出した。
「?なんですか、これ」
「元領主の娘さんが水浄村を立つ前に黄香様にと……」
「!!水憐が……?」
私はその紙を翠玉さんからゆっくり受け取る。
少し重みがあり、何かが紙に包まれているようだ。
私は、その紙をそっと開いた。
「!うわぁ……綺麗……」
紙に包まれていたのは綺麗な黄色の宝石があしらわれた腕輪だった。
太陽に当てるとキラキラと反射して、とても幻想的だった。
傍に添えられていた小さな紙切れには"一番の親友へ。『約束』、覚えてる?じゃあ、何処かで"と綺麗な文字で書かれていた。
素っ気ない文と懐かしい筆跡に、自然と目尻に涙が溜まる。
「水憐、ちゃん……」
ギュッ…とその紙を抱き締める。
「"離れていても、死んじゃっても、ずーっと、友達だからね"ッ……」
…もしも会えなくてもそれが"運命"というのなら、私はそれを受け止めよう。
……でも、出来ることなら。
また、あの日のように二人で――――――
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厨二乙(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!明日までには続編をつくる予定です (2016年8月10日 15時) (レス) id: 7e18410e1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きがきになります(*´∀`)ワクワク更新頑張ってください(*´ω`*) (2016年8月10日 15時) (レス) id: 4f1d10fb33 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 厨二乙さん» 良かった!楽しみにしてます!(((o( ˙-˙ *))o)))! (2016年8月5日 20時) (レス) id: a582850307 (このIDを非表示/違反報告)
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