第三百四十四夜 入り乱れる想い ページ29
〜レイラside〜
「っていうか、本当に何処よ。ここ」
私はキョロキョロと辺りを見渡した。
草原と目の前に大きな青い門……。
装飾や門の前に立つ兵士から察するに煌帝国かしら?
「従ってたフリ、ねぇ…」
レイラはそう言うと、胸の辺りを強く抑えた。
少し強く押すと、胸の中にある"何か"が"早く自由になりたい"と言わんとばかりに蠢く。
「……っまぁ、この話はまたいつかするとして……。とりあえず、黄香とサーリエでも探そうかしら?」
レイラはそう言うと、先程まで寝転がっていた絨毯を畳み始めた。
*
〜黄香side〜
翠玉さんに連れられて来た場所は、さっき翠玉さんが眺めていた丘だった。
丘の上には二つの小さめの石の塔が建っており、その石の塔の前に置かれた菊と百合の花が静かに風に揺られていた。
「あの、翠玉さん。これは……」
「………」
私は斜め後ろにいた翠玉さんに声を掛けた。
翠玉さんは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
…私はそれを見て、急いで目の前にある石の塔を見た。
「そ、んな……」
刻まれている名前に私は絶句した。
…寄り添うように置かれている石の塔には確かに"あの領主"の名前と、その妻の名前。
私は膝から崩れ落ちた。
「…見ての通り、水浄村の領主様はもう亡くなっております。専属の医師によると毒殺だと…。恐らく、酷い圧政に耐えきれなかった元黄桃村民が誰かに暗殺を依頼したのではないかと…」
「……っ」
――――ただただ、悔しかった。
"恨む"だとか"憎い"という感情なんかなくて。
ただただ、虚しい思いでいっぱいだった。
自然と涙が出て、頭がぐちゃぐちゃだ。
もう何を理由に生きればいいのか、分からない。
…母上、父上、ごめんなさい。
私、何も出来なかったよ。
自嘲気味に笑い、私はゆっくりと立ち上がる。
見上げると、憎たらしい程に青い空。
「…―――ああ、悲しいなぁ…」
私の耳元で、ルフがピィ…と鳴いた気がした。
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厨二乙(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!明日までには続編をつくる予定です (2016年8月10日 15時) (レス) id: 7e18410e1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きがきになります(*´∀`)ワクワク更新頑張ってください(*´ω`*) (2016年8月10日 15時) (レス) id: 4f1d10fb33 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - そらさん» つまんないは言い過ぎじゃない?もう少し言葉を選んだほうが良いと思う (2016年8月8日 23時) (レス) id: f2ab9f97c5 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 厨二乙さん» 良かった!楽しみにしてます!(((o( ˙-˙ *))o)))! (2016年8月5日 20時) (レス) id: a582850307 (このIDを非表示/違反報告)
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